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投稿日:2026年8月28日 | 更新日:2026年8月31日

注文書・見積書は何年保存するか——法人税法・会社法・電帳法の違い

この記事のポイント(結論先出し)

注文書・見積書・納品書の保存年数は「何年」だけで覚えると足りなくなる。効くのは起算日である。法人税法施行規則は、書類についてはその作成または受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から 2 月を経過した日を起算日とし、そこから 7 年間としている。書類の日付から数えると最長で 8 年 2 か月ぶん残ることになる。さらに欠損金が生じた事業年度は 10 年、会社法の会計帳簿と重要な資料も 10 年。いちばん長いものに合わせて捨てる日を決めるのが、実務としては早い。

根拠になる法律が 3 つある

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調達購買が扱う書類の保存年数は、1 本の法律で決まっていない。少なくとも税法と会社法の 2 系統があり、税法の中でも法人税・所得税・消費税で扱いが分かれる。まず全体を並べる。

根拠 対象 年数 起算日
法人税法施行規則 第 59 条 注文書・契約書・送り状・領収書・見積書と、自己が作成したこれらの写し[2] 7 年[2] 作成・受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から 2 月を経過した日[2]
法人税法施行規則 第 26 条の 3 欠損金額が生じた事業年度の帳簿書類[2] 10 年[2] 同上[2]
会社法 第 432 条第 2 項 会計帳簿およびその事業に関する重要な資料[3] 10 年[3] 会計帳簿の閉鎖の時[3]
会社法 第 435 条第 4 項 計算書類およびその附属明細書[3] 10 年[3] 計算書類を作成した時[3]
消費税(仕入税額控除) 帳簿および請求書等[4] 7 年(6 年目と 7 年目はいずれか一方でよい)[4] 請求書等は受領した日の属する課税期間の末日の翌日から 2 か月を経過した日[4]
所得税法施行規則 第 63 条(青色申告者) 注文書・契約書・送り状・領収書・見積書など[5] 5 年(現金預金取引等関係書類は 7 年)[5] 作成・受領の日の属する年の翌年 3 月 15 日の翌日[5]

この表でまず気づいてほしいのは、起算日が根拠ごとに 5 通りに分かれることである。年数だけを社内規程に書いて、起算日を書いていない会社は多い。捨てる日を決めるのは年数ではなく起算日のほうである。

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法人税法の 7 年は「書類の日付から 7 年」ではない

ここを取り違えると 1 年近く足りなくなる。条文を見る。青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、起算日から 7 年間、これを納税地に保存しなければならないとされ、その第 3 号に「取引に関して、相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し」が挙げられている[2]

そして起算日について、帳簿についてはその閉鎖の日の属する事業年度終了の日の翌日から 2 月を経過した日をいい、書類についてはその作成または受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から 2 月を経過した日をいう、と定めている[2]

3 月決算の会社で数えてみる

2026 年 4 月 1 日に受け取った注文書があるとする。

1. その日が属する事業年度が終わるのは 2027 年 3 月 31 日。
2. 翌日は 2027 年 4 月 1 日。
3. そこから 2 月を経過した日、つまり 2027 年 6 月 1 日が起算日になる。
4. 7 年間なので 2034 年 5 月末まで保存する。

書類の日付である 2026 年 4 月 1 日から数えると 8 年 2 か月である。「7 年だから 2033 年に捨てよう」と決めていると、1 年以上早く捨てることになる。

逆に、期末近くに受け取った書類はほぼ 7 年 2 か月で済む。同じ 7 年でも、期初に受け取ったか期末に受け取ったかで実際の保管期間が 1 年変わるということである。だから実務では「事業年度ごとに箱をまとめ、その事業年度の起算日から数える」形にするのが管理しやすい。

なお、確定申告書の提出期限が延長されている事業年度では、2 月に代えて延長に係る月数に 2 を加えた月数となる[2]。申告期限の延長の特例を受けている会社は、起算日が後ろにずれる。

欠損金が出た事業年度は 10 年

欠損金の繰越しの規定の適用を受けようとする場合、その欠損金額が生じた事業年度の帳簿書類を整理し、第 59 条第 2 項に規定する起算日から 10 年間保存しなければならないとされている[2]

国税庁も、平成 30 年 4 月 1 日以後に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に欠損金額が生じた場合などは 10 年になるとしている[1]

実務で怖いのは、この 10 年が事業年度単位でしか効かないことである。7 年で捨てる運用を全社に敷いていると、赤字だった年度の分だけ 3 年早く消えることになる。決算の結果は書類を受け取った時点では分からないので、あとから「この年度は 10 年」と印を付けられる形にしておく必要がある。

青色申告でなくても 7 年

青色申告法人でない普通法人等についても、取引に関して相手方から受け取った注文書・契約書・送り状・領収書・見積書等および自己の作成したこれらの写し、棚卸表・貸借対照表・損益計算書などを整理し、第 59 条第 2 項に規定する起算日から 7 年間保存しなければならないとされている[2]

「青色申告をしていないから短くてよい」ということはない。

会社法の 10 年は範囲の解釈が問題になる

会社法は、株式会社は会計帳簿の閉鎖の時から 10 年間、その会計帳簿およびその事業に関する重要な資料を保存しなければならないと定めている[3]。また、計算書類を作成した時から 10 年間、その計算書類および附属明細書を保存しなければならないとしている[3]

「その事業に関する重要な資料」に何が入るかは条文に列挙されていない。契約書や、金額の根拠になる見積書がここに入ると考えれば、税法の 7 年より長い期間が必要になる。

実務としての落とし所は明快である。迷うなら 10 年に寄せる。紙なら保管コストが増えるが、電子なら年数を延ばす費用はほとんど変わらない。電子化の利点は検索性より、この「長いほうに合わせても痛くない」点にある。

消費税は 6 年目と 7 年目に緩和がある

仕入税額控除の適用を受けるためには、帳簿および請求書等の保存が必要になる。国税庁は、帳簿についてはその閉鎖の日、請求書等についてはその受領した日の属する課税期間の末日の翌日から 2 か月を経過した日から 7 年間保存することとされているが、6 年目と 7 年目については、いずれか一方を保存すればよいとしている[4]

保存すべき請求書等には、適格請求書や適格簡易請求書のほか、仕入明細書等やこれらの電磁的記録が含まれる[4]。買い手が作る支払通知書を仕入明細書として使っている場合、その支払通知書が保存の対象になる。成立させる条件は支払通知書とは|請求書なしで支払を確定させる仕組みで扱っている。

ただし、6 年目と 7 年目の緩和は消費税の話である。法人税法上は帳簿も書類も 7 年間必要になる[2]ので、この緩和だけを見て請求書を 5 年で捨てると、法人税側で足りなくなる。

個人事業主は 5 年のものがある

所得税法施行規則は、青色申告者について、帳簿および書類を整理し起算日から 7 年間(第 3 号に掲げる書類のうち、現金預金取引等関係書類に該当する書類以外のものにあっては 5 年間)保存しなければならないとしている[5]

第 3 号に掲げる書類とは、取引に関して相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類および自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写しである[5]。現金預金取引等関係書類とは、現金の収受もしくは払出しまたは預貯金の預入もしくは引出しに際して作成されたものなどをいう[5]

つまり、個人事業主が受け取った注文書や見積書は 5 年、領収書のような現金預金に関わるものは 7 年という分かれ方になる。起算日は、その作成または受領の日の属する年の翌年 3 月 15 日の翌日である[5]

取引先に個人事業主が含まれる場合、相手側の保存年数が自社と違う点は覚えておくと話が早い。過去の取引について照会したときに、相手に書類が残っていないことがある。

電子データでも年数は変わらない

メールや Web でやり取りした注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当するデータは、電子取引データとして保存しなければならない[6]。この保存も、上の年数に従う。データにしたから短くてよい、という規定はない。なお FAX や電話で受けた注文がどちら側に入るかはFAX・電話で受けた注文と電子帳簿保存法で整理している。

逆に言えば、紙とデータで保存年数の管理を分ける意味はない。ファイルサーバーの整理を事業年度ごとのフォルダにしておけば、起算日の管理と廃棄の管理が同じ単位でできる。保存の要件そのものについては電子帳簿保存法の対応|システムなしで満たす方法で扱っている。

社内規程に書くべきこと

年数ではなく「いつまで」を書く

「注文書は 7 年」ではなく「注文書は当該事業年度の申告期限の翌日から 7 年(欠損金が生じた事業年度は 10 年)」と書く。起算日が抜けていると、担当者が書類の日付から数えてしまう[2]

事業年度ごとにまとめる

書類単位で期限を管理すると、日付の違う書類が同じ箱に混ざる。事業年度で束ねれば、廃棄の判断が年 1 回で済む。

欠損金が出た年度に印を付ける

決算が確定した時点で、その事業年度の保存期限を 10 年に書き換える運用を入れる[2]

取引先ごとの契約書は別扱いにする

会計帳簿およびその事業に関する重要な資料は 10 年である[3]。契約書を注文書と同じ箱に入れて 7 年で捨てる運用にしない。

廃棄の記録を残す

いつ、どの事業年度の、どの区分の書類を捨てたかを記録する。あとから「無い」と言われたときに、期限到来による廃棄なのか紛失なのかを区別できる。

よくある質問

不採用にした見積書も 7 年ですか

法人税法施行規則が挙げているのは「取引に関して、相手方から受け取つた」書類である[2]。取引に至らなかった見積書の扱いは、その意味では取引に関する書類とは言い切れない。ただし相見積の記録は、価格の妥当性を説明する資料になる。年数の問題というより、説明できる状態を保つかどうかの問題として決めるのが実務的である。なお、ここで論じているのは紙で受け取った書類を何年残すかである。電子データで受け取った見積書は、不採用でも電子取引データとして保存の対象になるため、断りの連絡を出した時点でメールごと削除する運用にはできない。相見積の運用は相見積とは|取適法で変わった取り方の注意点で扱っている。

同じ書類を紙と電子の両方で持っています

どちらかを正と決める。両方を期限まで残しても構わないが、片方を先に捨てる運用にすると、残ったほうが要件を満たしているかを確かめておく必要がある。

会社を清算する場合はどうなりますか

清算中の内国法人の残余財産の確定の日の属する事業年度については、起算日の計算で 2 月に代えて 1 月とされている[2]。年数そのものは変わらない。

7 年を過ぎたら必ず捨てなければなりませんか

捨てる義務を定めた規定ではない。保存しなければならない期間を定めたものである[2]。ただし個人情報を含む書類を必要以上に持ち続けることの是非は別に検討する。

注文書の控えは自社作成分でも対象ですか

自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写しが対象に挙げられている[2]。発注書を送ったときの控えは保存の対象である。発注書に書くべき内容は発注書に明示しなければならない 12 項目で整理している。

倉庫代を減らしたいのですが

紙を読み取って電子で残す方法がある。ただし読み取りには別の要件があり、満たさないまま紙を捨てると保存書類として扱われない。年数の話とは分けて検討する。要件と、紙をいつ捨てられるかは紙の注文書をスキャンして捨てられるか|スキャナ保存の要件で扱っている。

まとめ

保存年数の設計で押さえる点は 3 つである。

1 つ目は起算日。法人税法上は、書類の作成または受領の日ではなく、その日が属する事業年度終了の日の翌日から 2 月を経過した日から数える[2]。書類の日付から 7 年で捨てると足りない。

2 つ目は 10 年になる場合。欠損金が生じた事業年度は 10 年[2]、会社法の会計帳簿と事業に関する重要な資料も 10 年である[3]。7 年を前提に組んだ運用は、この 2 つで破綻する。

3 つ目は法律ごとに対象が違うこと。消費税の 6 年目と 7 年目の緩和[4]や、個人事業主の 5 年[5]は、それぞれの法律の中でしか効かない。一つの緩和を見つけて全体に当てはめない。

迷ったら、事業年度単位で束ねて 10 年に寄せる。電子で残すなら、年数を延ばす費用はほとんど増えない[6]

出典・参考資料

  1. No.5930 帳簿書類等の保存期間(国税庁)
  2. 法人税法施行規則(第 26 条の 3・第 59 条・第 67 条)(e-Gov 法令検索)
  3. 会社法(第 432 条・第 435 条)(e-Gov 法令検索)
  4. No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存(国税庁)
  5. 所得税法施行規則 第 63 条(帳簿書類の整理保存)(e-Gov 法令検索)
  6. 電子帳簿保存法 電子取引データの保存方法をご確認ください【令和 6 年 1 月以降用】(国税庁/令和 5 年 7 月)

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