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金網(織金網)の発注——JIS G 3555 のメッシュと G 3556 の目開き、線径と材質の書き方

この記事のポイント(結論先出し)
この記事は、ふるい・フィルタ・保護網・機械の囲いなど、工業用途の金網(織金網)を発注するときの指定をまとめる。織金網の JIS は二つあり、JIS G 3555(織金網)はメッシュ(25.4 mm 間の目数)と線径で、JIS G 3556(工業用織金網)は目開きと線径で呼ぶ[1][2]。メッシュだけでは穴の大きさは決まらない。目開きはおおよそ 25.4÷メッシュ-線径で、同じ「約 10 メッシュ」でも線径で穴の大きさが大きく変わる[2]。G 3556 はふるい分け用で、ふるい分け以外の用途は受渡当事者間の協定による[2]。ふるい分け試験に使う試験用ふるいは別の JIS Z 8801-1 の製品である[3]。平らな網が要るなら平面度を協定する。G 3556 は協定がなければ平面で供給する必要はない、としている[2]。
目次
二つの JIS:G 3555 と G 3556 の違い
JIS G 3555(織金網)は、なまし鉄線製・亜鉛めっき鉄線製・ステンレス鋼線製の織金網の規格で、製網後にめっきした「あとめっき」のものは除く[1]。2004 年に改正され、2011 年に追補 1 が出ている[1]。種類は平織金網(PW)・あや織金網(TW)・畳織金網(DW)で、記号の末尾の A・G・S が材料(なまし鉄線 SWM-A、亜鉛めっき鉄線 SWMGS-2、ステンレス鋼線の調質 W1)を表す[1]。ステンレス鋼線製には「PW-S 304」「DW-S 316」のように鋼種を付記する[1]。
JIS G 3556(工業用織金網)は、ふるい分け用の工業用織金網の規格で、ISO 9044:1999 と ISO 4783-2:1989 を基に作られている[2]。鉄線・硬鋼線・ステンレス鋼線で製造する正方目の織金網に適用し、ふるい分け以外の目的に使う織金網は、発注を行うときに受渡当事者間の協定による[2]。種類は平織と綾織で、記号は PW-A・PW-B・PW-H・PW-S(綾織は TW-)の 8 種類である[2]。
| 項目 | JIS G 3555 織金網 | JIS G 3556 工業用織金網 |
|---|---|---|
| 網目の呼び方 | メッシュ(25.4 mm 間の目数)と線径 | 目開き(隣接する線の間の距離)と線径 |
| 織り方 | 平織・あや織・畳織 | 平織・綾織(正方目) |
| 主な用途の前提 | 一般(用途の限定なし) | ふるい分け用(他の用途は協定) |
| 呼び方の例 | PW-A,0.5,20,910,30 | PWA 2.0 0.8 1 000×30 |
| 幅・長さ | 幅の標準 455・610・910・1 000・1 220 mm、長さ 30 m、どちらもプラス 2%・マイナス 0 | 標準のロール長さ 25 m 又は 30 m(±10% の許容差を認める)。幅は協定した寸法を基準に許容差を規定 |
表の呼び方の例は、G 3555 が「なまし鉄線製平織金網、線径 0.5 mm、20 メッシュ、幅 910 mm、長さ 30 m」、G 3556 が「なまし鉄線平織金網、目開き 2.0 mm、線径 0.8 mm、幅 1 000 mm、長さ 30 m」である[1][2]。順番に並ぶ数字の意味がまったく違うので、規格番号を書かずに数字だけ並べると取り違える。
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メッシュでは穴の大きさが決まらない
JIS G 3556 は、目開き w を二本の隣接する縦線又は横線間の距離、ピッチを目開きと線径の和と定義している[2]。25.4 mm の中にピッチがいくつ入るかがメッシュ(目数)なので、目開きはおおよそ「25.4÷メッシュ-線径」になる。G 3556 の付表 1 は、目開きと線径の組合せごとに、25.4 mm の一辺の目数を参考に示している[2]。
| 目開き mm | 線径 mm | 25.4 mm の一辺の目数(付表 1 の参考値) |
|---|---|---|
| 2.00 | 1.60 | 7.06 |
| 2.00 | 0.56 | 9.92 |
| 1.00 | 0.800 | 14.11 |
| 1.00 | 0.250 | 20.32 |
同じ目開き 1.00 mm でも、線径で目数は 14 にも 20 にもなる[2]。逆に「10 メッシュ」と言っても、線径 0.5 mm なら目開きは約 2.04 mm、線径 1.0 mm なら約 1.54 mm で、穴の大きさが 3 割近く違う(上の式で計算)。通したい粒子・止めたい異物の大きさで網を決めているなら、目開きで指定する。メッシュで注文するなら、線径を必ず一緒に書く(当方の提案)。
線径の選択肢も規格にある。G 3555 は、なまし鉄線製と亜鉛めっき鉄線製の標準線径を 0.18〜2.00 mm、ステンレス鋼線製の標準線径を 0.030〜2.00 mm の範囲で表 2・表 3 に示し、メッシュと線径の組合せは付表による、としている[1]。G 3556 は、受渡当事者間の協定がない場合、線径と目開きの組合せを付表 1 又は付表 2(ISO 4783-2)から選ぶ[2]。標準の組合せから選ぶと、手配できる仕入先が増える。
許容差:G 3555 はメッシュ、G 3556 は目開き
JIS G 3555 は、縦線によるメッシュの許容差を、10 メッシュ未満で ±3%、10 メッシュ以上で ±2% としている。横線によるメッシュの許容差は織り方で分かれ、平織とあや織はプラス側が +5%、マイナス側は付表 1・付表 2 による値で、畳織は +10%・-5% である[1]。10 メッシュ未満と以上で分かれているのは縦線の許容差である[1]。製網後の線径の許容差を指定する場合は、受渡当事者間の協定による[1]。
JIS G 3556 は目開きの許容差を、平均値の許容差(±Y)、偏差値(+Z)、最大値(+X)の三つで決めている[2]。測った目開きの算術平均は基準寸法から ±Y 以上ずれてはならず、「基準目開き+X」と「基準目開き+Z」の間に入る目開きが全体の 6% 以上あってはならず、+X を超える目開きがあってはならない[2]。+X を超える目開きは主要欠陥とみなされる[2]。Z と X がプラス側だけなのは、単一の目の偏りはふるい分け工程に影響しないという経験による、と規格は説明している[2]。
許容差の割合は目開きの大きさと材料で違う。表 2 では、基準目開き 2.0 mm のステンレス鋼線で平均値の許容差は ±5%、普通鉄線・なまし鉄線・硬鋼線で ±6% である[2]。粒子を止めるフィルタでは、平均値より最大の目開き(+X)の側が効くことが多い。どの値で受け入れるかを、用途から決める(当方の提案)。
主要欠陥の数と、つなぎ
JIS G 3556 は、織金網は何らかの製造欠陥なしに生産することはできないとし、単位面積当たりの許容できる主要欠陥の数と性質を受渡当事者が協定しなければならない、としている[2]。協定がない場合の上限は表 3 で、たとえば基準目開き 1 mm 以上 16 mm 以下で 10 m² 当たり 3、0.25 mm 以上 1 mm 未満で 5 である[2]。主要欠陥には、著しい裂けきず、織りはずれ、縦ゆるみなどが挙げられている[2]。ロールは最大 3 枚つなぎで構成してよく、1 枚の最小長さは 2.5 m である[2]。
JIS G 3555 では、つなぎは 10 m² について 7 個を超えてはならない(裂けきずを補修したものを除く)、とされている[1]。切り出して部品にする網で、つなぎ目や欠陥を製品に入れたくないなら、欠陥とつなぎの位置の扱いを協定するか、切り出し後の外観基準を図面に書く。
平らさ・寸法:シートで買うとき
JIS G 3556 は、平面度について、受渡当事者間で協定がない場合は必ずしも平面で供給する必要はなく、購入者が平らな網を要求する場合は協定による、としている[2]。シート状の網の長さと幅の許容差は、受渡当事者間で決めた値の ±0.5% 又は ±1 ピッチを超えてはならない[2]。枠に張る網や、プレスで抜く網では、平面度と外形の許容差を注文時に書く。
G 3556 は、引合い又は発注のときに購入者が供給者に与える情報として、数量・目開き・線径・材質・織り方・幅及び長さを挙げ、成績書を要求する場合は様式を指定することが望ましい、としている[2]。G 3555 も G 3556 も、成績書は購入者(注文者)から要求された場合に提出する形である[1][2]。
材料と防せい:あとめっきは G 3555 の対象外
JIS G 3555 の亜鉛めっき鉄線製織金網(PW-G・TW-G)は、めっきした線を織ったもので、亜鉛付着量は線径ごとに規格の表 5 で決まり、製網後の亜鉛付着量を指定する場合は協定による[1]。2011 年の追補 1 で、亜鉛付着量試験の方法は亜鉛めっき鉄線の規格 JIS G 3547 の付着量試験によるように改められた[1]。織った後に電気亜鉛めっきや溶融亜鉛めっきをする「あとめっき」の網は、G 3555 の対象外である[1]。網を織ってから枠ごと溶融亜鉛めっきにかけたいときは、網目がふさがらないか、めっきの規格と条件を別に決める。溶融亜鉛めっきの指定は溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)の指定で扱った。
ステンレス鋼線製を使うなら、鋼種を記号に付けて書く(PW-S 304 など)[1]。耐食性の要求に応じた鋼種の選び方はステンレスの発注で指定することで扱った。
試験用ふるいは別の規格 JIS Z 8801-1
粒度の検査に使う「ふるい」を買うなら、G 3556 ではなく JIS Z 8801-1(試験用ふるい-第 1 部:金属製網ふるい)の製品になる。Z 8801-1 は、鉱工業などの分野で、原料・中間製品・最終製品となる粉粒体状物質のふるい分け試験に用いる金属製網ふるいの規格で、公称目開き 20 μm〜125 mm に適用する[3]。2019 年 6 月 20 日に改正され、試験用ふるいの適合性の書類について、校正証明書は JIS Q 17025 の認定を受けた校正機関が発行するもの、という注記が JIS で加えられている[3]。
受入検査や工程の粒度管理の値を仕入先と比べるなら、同じ規格の試験用ふるいで、校正の記録がそろっていることが前提になる。製造ラインのふるい機に張る網(G 3556)と、検査に使う試験用ふるい(Z 8801-1)を混同しない。
機械の囲いに使うとき:網目と安全距離
金網を機械の囲いやのぞき窓の保護に使うなら、網目から指や手が危険区域に届かないかを確かめる。JIS B 9718 は、14 歳以上の人について、正方形の開口部の一辺 e ごとに、危険区域までの安全距離 Sr を示している。たとえば 6 mm を超え 8 mm 以下で 15 mm 以上、10 mm を超え 12 mm 以下で 80 mm 以上、12 mm を超え 20 mm 以下で 120 mm 以上である[4]。織金網の正方目は、目開きをこの e に当てはめて読む。
開口部が大きいほど、囲いを危険源から離す必要がある。目開きを大きくして風通しや見通しを良くしたいなら、その分だけ囲いと危険源の距離が要る。B 9718 の要求に適合できない場合は他の保護方策を使わなければならない、とされている[4]。網の線径が細いと、押されて変形し開口部が広がることもあるので、線径と枠の支え方も合わせて設計で確かめる(当方の提案)。
注文書の書き方の例
ふるい分け用の網をロールで買う場合の例。
「工業用織金網 JIS G 3556、PW-S 304、目開き 1.00 mm、線径 0.400 mm、幅 1 000 mm×長さ 30 m。主要欠陥の許容数は規格の表 3 による。成績書(目開きの平均値・最大値、線径)を添付すること。」
カバーに使う網をシートで買う場合の例。
「織金網 JIS G 3555、PW-S 304、線径 0.8 mm、8 メッシュ(目開きの目安 約 2.4 mm。メッシュと線径の組合せは規格の付表で確認)、シート 600×400 mm、平面度は図示、外形の許容差 ±1 mm、つなぎのないこと。」
二つ目の例は、G 3555 の呼び方に、目開きの目安と、規格の外で決める平面度・外形・つなぎを足したものである。これらは規格の既定だけでは決まらない[1][2]。
よくある質問
図面に「#20」としか書いてありません
20 メッシュだとしても、線径が分からなければ目開きは決まらない[2]。止めたい粒子の大きさを設計に確かめ、目開きか、メッシュと線径の組で書き直してもらう。
ふるい分けではなく、フィルタの支えに使います。G 3556 で注文できますか
G 3556 は、ふるい分け以外の目的に使う織金網は、発注のときに受渡当事者間の協定による、としている[2]。規格の網目と許容差を使うことは協定で決め、平面度などの必要な条件を足す。
金網とエキスパンドメタル、どちらがよいですか
細かい正方目で目開きをそろえたいなら織金網、板一枚から作る剛性のある網が要るならエキスパンドメタルが候補になる。エキスパンドメタルの指定はエキスパンドメタル(JIS G 3351)の発注で、穴を板に開けるパンチングメタルはパンチングメタルの発注で扱った。
まとめ
織金網の JIS は、メッシュと線径で呼ぶ JIS G 3555 と、目開きと線径で呼ぶふるい分け用の JIS G 3556 の二つがある。目開きはおおよそ 25.4÷メッシュ-線径で、メッシュだけでは穴の大きさが決まらないので、目開きか、メッシュと線径の組で書く。G 3556 の許容差は目開きの平均値・偏差値・最大値で決まり、主要欠陥の数は協定がなければ規格の表による。平面度は協定しなければ求められず、あとめっきの網は G 3555 の対象外である。試験用ふるいは JIS Z 8801-1 の製品で、機械の囲いに使うなら目開きを JIS B 9718 の開口部として安全距離を確かめる。
同じ束では、炭素鋼鋳鋼品 SC450、A5056・A5083、銅ブスバーの発注も扱う。
出典・参考資料
- JIS G 3555:2004 織金網(追補 1:2011)(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2011 年 2 月 21 日改正・2025 年 10 月 20 日確認。本体と追補 1 を閲覧)
- JIS G 3556:2002 工業用織金網(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2002 年 6 月 20 日改正・2021 年 10 月 20 日確認)
- JIS Z 8801-1:2019 試験用ふるい-第 1 部:金属製網ふるい(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2019 年 6 月 20 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
- JIS B 9718:2013 機械類の安全性-危険区域に上肢及び下肢が到達することを防止するための安全距離(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2013 年 5 月 25 日制定・2023 年 10 月 25 日確認)
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