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投稿日:2026年10月17日

銅ブスバー(JIS H 3140)の発注——C1020・C1100 の質別と導電率、曲げ・面取り・曲がりの指定

この記事のポイント(結論先出し)

銅ブスバー(バスバー)は JIS H 3140 の製品で、合金は無酸素銅 C1020 とタフピッチ銅 C1100 の 2 つ、製品記号は「C 1020 BB-1/2H」のように質別まで書く[1]。質別で導電率の規定値が変わり、20 ℃で O は 100 %IACS 以上、1/4H と 1/2H は 98 %IACS 以上、H は 97 %IACS 以上である[1]。曲げて使うなら質別の選び方が効き、H には曲げ試験の規定がない。曲げ試験そのものも注文者が要求したときだけ適用される[1]。縁は指定がなければ半径 1.0 mm 以下の丸みか幅 1.0 mm 以下の面取りで、フルラウンドは指定したときだけである[1]。長さは指定がなければ 5 000 mm、成績書は受注時に要求したときだけ出る[1]。許容電流は H 3140 の項目ではないので、設計側で決めて図面に寸法と質別で落とす。

JIS H 3140 が決めている範囲

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伸銅品の用語を定めた JIS H 0500 は、銅ブスバーを「無酸素銅又はタフピッチ銅の長方形の中実断面をもつ導電体(JIS H 3140)」と定義している[2]。JIS H 3140(銅ブスバー)は 2018 年 3 月 20 日に改正され、2023 年 10 月 20 日に確認された規格で、展伸加工した銅ブスバーを対象にしている[1]。

種類は二つしかない。合金番号 C1020(無酸素銅)の C 1020 BB と、C1100(タフピッチ銅)の C 1100 BB である。規格の表 1(参考)は、C1020 を「電気の導電性が優れている。還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素ぜい化を起こすおそれがない」、C1100 を「電気の導電性が優れている」とし、用途例はどちらも各種導体・スイッチバーなどとしている[1]。化学成分は銅が C1020 で 99.96% 以上、C1100 で 99.90% 以上である[1]。

C1020 には水素ぜい性の規定があり、水素を満たした炉で 850±25 ℃に 30〜120 分加熱したあとの密着曲げで割れないこと、又は顕微鏡で水素ぜい化特有の組織が出ないことを求めている[1]。ろう付けや溶接の工程があるかで 2 つのどちらを選ぶかは、無酸素銅 C1020 とタフピッチ銅 C1100 の違いで扱った。この記事では、ブスバーとして買うときに決める質別・寸法・縁・試験に絞る。

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質別で、強さ・曲げ・導電率が同時に決まる

JIS H 3140 は、種類の記号の後に質別の記号を付けて製品記号とする[1]。質別は O・1/4H・1/2H・H の 4 つで、表 3 と表 4 が機械的性質と導電率を決めている[1]。並べると次のとおりで、値は C1020 と C1100 で同じである。

質別 適用する厚さ mm 引張強さ N/mm² 伸び % 曲げ試験(厚さ 2.0 以上 15 以下) 導電率(20 ℃)
O 2.0 以上 30 以下 195 以上 35 以上 180°・内側半径は厚さの 0.5 倍 100 %IACS 以上
1/4H 2.0 以上 30 以下 215〜275 25 以上 180°・厚さの 1 倍 98 %IACS 以上
1/2H 2.0 以上 20 以下 245〜315 15 以上 90°・厚さの 1.5 倍 98 %IACS 以上
H 2.0 以上 10 以下 275 以上 規定なし 規定なし 97 %IACS 以上

曲げ試験の条件は厚さ 2.0 mm 以上 15 mm 以下にだけ決まっていて、それより厚い区分には規定がない[1]。H は厚さ 10 mm までしか製品の範囲がなく、1/2H は 20 mm まで、O と 1/4H は 30 mm までである[1]。厚い硬質のブスバーを図面に書いても、規格の範囲に入らないことがある。

曲げるブスバーは、質別を図面で決めておく

表のとおり、硬い質別ほど曲げ試験の内側半径は大きく、曲げ角度も 1/2H は 90° になる。H には曲げの規定がない[1]。盤の中で何か所も曲げて引き回すブスバーを H や 1/2H で注文すると、加工先で割れやしわが出る、あるいは R を大きくしてよいかと聞かれることになる。曲げのある部品は O か 1/4H を軸に考え、曲げ R を図面に書く(当方の提案)。

曲げ試験は、注文者の要求がある場合に適用し、曲げた部分の外側に割れを生じてはならない、とされている。割れの判定から外す端部からの距離は製造業者の判断によるが、特に要求があれば協定による[1]。材料の段階で曲げ性を確かめたいなら、注文時に曲げ試験を要求する。

硬い質別には強さの利点がある。H は引張強さ 275 N/mm² 以上で、O の 195 N/mm² 以上より高いが、導電率は O より低い規定値になる[1]。どの質別にするかは、曲げの有無と、導電率を何 %IACS で設計しているかの両方で決める。

導電率は 20 ℃の値、測り方は JIS H 0505

JIS H 3140 は、導電率試験を JIS H 0505(非鉄金属材料の体積抵抗率及び導電率測定方法)によるとし、試験片の採取が難しい場合は渦電流式導電率計を用いてもよい、としている[1]。JIS H 0505 は 2024 年 4 月 22 日に改正されていて、導電率を、焼鈍標準軟銅(IACS)の体積抵抗率を材料の体積抵抗率で除した百分率(%IACS)として定義し、測った温度の抵抗から 20 ℃の値を求める式を示している[3]。

受入で導電率を自社で確かめる場合は、測定の温度と、渦電流式か抵抗を測る方法かを、仕入先の成績書と合わせる。測り方が違えば値も少しずつ違いうるので、食い違ったときにどちらの方法で判定するかを先に決める(当方の提案)。

寸法・曲がり・縁:書かなかったときの既定

JIS H 3140 のブスバーは、厚さ 2.0〜30 mm、幅 300 mm 以下で、長さは指定がない限り 5 000 mm である[1]。附属書 A(参考)には、市場に広く流通している代表寸法の組合せが表で示されている[1]。代表寸法から選ぶと、在庫から短い納期で手配できることが多い。

厚さと幅の許容差は表 5 による。たとえば厚さ 2.0 mm 以上 3.2 mm 以下は厚さ ±0.08 mm・幅(100 mm 以下)±0.8 mm、厚さ 5.0 mm を超え 8.0 mm 以下は幅 200 mm 以下で厚さ ±0.12 mm である[1]。他の区分は規格の表で確かめる。

曲がりは、長さ 2 000 mm につき 3.5 mm 以下と決まっている。ただし長さ 2 000 mm 未満のブスバーには曲がりの規定を適用しない[1]。短く切った部品で真っすぐさが要るなら、規格に頼らず図面に書く。

縁部は、指定がなければ半径 1.0 mm 以下の丸み面取り、又は幅 1.0 mm 以下の平らな面取りである[1]。指定がある場合は、丸み面取り(たとえば厚さ 2.0 mm 以上 5.0 mm 以下で半径 0.8 mm ±0.2 mm)か、縁の半径を厚さの半分にするフルラウンド面取りで行う[1]。フルラウンドは表示でも「FR 10×100×5 000 mm」のように区別される[1]。縁の形は、絶縁物との接触や、作業者が触れる場所での扱いに関わるので、必要なら図面に書く。

板から切り出す場合との違い

同じ C1100 でも、板の JIS H 3100 から短冊に切り出した材料には、H 3140 の箇条 7 のような縁部の形状の規定がない[1][4]。切った縁はせん断のままになるので、面取りが要るなら図面に書く。JIS H 3100 の導電率の規定は導電用の板と条に対するもので、注文者の要求がある場合に適用される[4]。ブスバーとして使う部品を、どちらの規格の材料から作るかを、加工先と確かめる。

外観・成績書は、要求しなければ製造業者の判断

JIS H 3140 は、外観について、仕上げが良好かつ均一で使用上有害な欠陥があってはならないとしたうえで、使用上有害な欠陥の基準は製造業者の判断により、特に要求がある場合は協定による、としている[1]。検査の頻度も製造業者の判断によるが、特に要求がある場合は協定による[1]。

接触面の傷や酸化の程度が接続部の性能に響く用途なら、接触面の外観の基準を協定しておく。報告について、製造業者は受注時に注文者から要求がある場合、同意した試験・検査の成績を記載した報告書(成績書)を提出しなければならない、とされている[1]。非鉄金属材料の検査通則 JIS H 0321 も、明細書は注文者の要求があったときに提出するもの、という形で書かれている[5]。導電率や水素ぜい化試験の結果が要るなら、注文時に求める。

許容電流とめっきは、H 3140 の外で決める

JIS H 3140 が決めているのは材料としての成分・機械的性質・導電率・寸法・縁で、何アンペア流してよいかという許容電流は規定していない[1]。許容電流は、周囲温度、許される温度上昇、並べ方、通風、盤の構造などで変わるので、設計側の基準で断面積を決めて、図面に厚さ×幅と質別で落とす。仕入先に「100 A 用のブスバー」とだけ伝えると、断面の決め方が仕入先任せになる。これは規格の要求ではなく、発注側の確認の提案である。

接続部にめっきをする場合も、H 3140 の範囲の外である。すずめっきの等級・膜厚とウィスカの扱いはすずめっき JIS H 8619 の指定で、ニッケルめっきはニッケルめっき JIS H 8617 の指定で扱った。めっきする面と、しない面(ボルト穴の内面など)の区別も図面に書く。銅の地金価格の動きと単価の決め方は銅を含む部品の価格の決め方にある。

受け入れるときに確かめること

JIS H 3140 は、1 包装・1 束・1 製品ごとに、規格番号と製品記号(例 JIS H 3140 C 1020 BB-1/2H)、寸法(例 10×100×5 000 mm)、製造番号、製造業者名を表示するよう定めている[1]。受入では次の順に見る。

1. 製品記号と質別
C1020 か C1100 か、質別は注文どおりか。

2. 寸法と縁
厚さ×幅×長さと、FR の表示の有無。縁の形が図面どおりか。

3. 成績書
求めていれば、導電率(20 ℃の値)、引張強さと伸び、C1020 なら水素ぜい化試験の結果が載っているか。

4. 曲がりと外観
2 000 mm 以上の材料なら曲がりの規定値、接触面の外観は協定した基準で。

注文書の書き方の例

書き方の様式が決まっているわけではない。書いておきたい内容を一つの例にまとめる。

「材質:JIS H 3140 C 1100 BB-1/4H、寸法 6×50×4 000 mm、縁は丸み面取り(規格の表 6 による)。曲げ試験の適用を要求する。成績書を添付し、導電率(20 ℃換算・測定方法を明記)・引張強さ・伸びを記載すること。質別・合金の変更は事前承認を要する。」

よくある質問

無酸素銅のほうが導電率が高いので、C1020 を選ぶべきですか

JIS H 3140 の導電率の規定値は、同じ質別なら C1020 と C1100 で同じである[1]。選ぶ理由は、還元性雰囲気での加熱(ろう付けなど)があるかどうかで、詳しくは無酸素銅とタフピッチ銅の記事で扱った。

ブスバーを何か所も曲げます。質別は何がよいですか

規格の曲げ試験の内側半径は O が厚さの 0.5 倍、1/4H が 1 倍、1/2H が 1.5 倍(90°)で、H には規定がない[1]。曲げ R と強さの要求から設計が決めるが、曲げの多い部品は O か 1/4H から検討することが多い。

短く切ったブスバーが反っています

曲がりの規定(2 000 mm につき 3.5 mm 以下)は長さ 2 000 mm 未満には適用されない[1]。短い部品の真っすぐさは図面で指定して、加工先に求める。

まとめ

銅ブスバーは JIS H 3140 の C 1020 BB か C 1100 BB を質別まで書いて注文する。質別で引張強さ・曲げ試験の条件・導電率(20 ℃で O は 100、1/4H と 1/2H は 98、H は 97 %IACS 以上)が同時に決まり、H には曲げの規定がない。曲げ試験・成績書・外観の基準は、要求しなければ適用されないか製造業者の判断になる。長さの既定は 5 000 mm、縁は指定がなければ 1.0 mm 以下の丸みか面取り、曲がりの規定は 2 000 mm 以上の材料だけである。許容電流とめっきは H 3140 の外なので、設計で断面を決め、めっきの範囲を図面に書く。

同じ束では、A5056・A5083、炭素鋼鋳鋼品 SC450、エキスパンドメタル、織金網の発注も扱う。銅合金の製品記号の考え方は銅合金は製品記号と質別で指定するにある。

出典・参考資料

  1. JIS H 3140:2018 銅ブスバー(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2018 年 3 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
  2. JIS H 0500:1998 伸銅品用語(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1998 年 8 月 20 日制定・2023 年 10 月 20 日確認)
  3. JIS H 0505:2024 非鉄金属材料の体積抵抗率及び導電率測定方法(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 4 月 22 日改正)
  4. JIS H 3100:2018 銅及び銅合金の板及び条(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2018 年 3 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
  5. JIS H 0321:1973 非鉄金属材料の検査通則(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1973 年 3 月 1 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)

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