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投稿日:2026年10月26日

軽量形鋼 SSC400(JIS G 3350)の発注——リップ溝形鋼(Cチャン)の呼び名・許容差・めっき品の指定

この記事のポイント(結論先出し)

いわゆる C チャンは、JIS G 3350(一般構造用軽量形鋼)のリップ溝形鋼で、種類の記号は SSC400 の 1 種類だけである[1]。熱間圧延の溝形鋼(JIS G 3192)とは別の製品で、鋼板や鋼帯を冷間成形して作り、適用厚さは 1.6〜6.0 mm と決まっている[1][2]。呼び方は「SSC400 リップ溝形鋼 100×50×20×2.3」のように、記号・断面形状の名称・寸法で書く[1]。めっき鋼板から作る場合は記号の後にめっきの付着量表示記号を付け(例 SSC400-Z27)、表示する厚さはめっき前の原板の厚さである[1]。めっきしていない切断面の防食は協定で決める[1]。検査文書は、注文者の要求があった場合に提出するものなので、ミルシートが要るなら注文時に求める[1]。

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「C チャン」「C 形鋼」と呼ばれる部材は、建屋の胴縁・母屋、設備の架台、ケーブルラック、装置のフレームなどに使われる。この記事は、こうした用途で軽量形鋼を注文書や図面に書くときに、JIS G 3350 で何が決まっていて、何を発注側が決めるのかを扱う。熱間圧延の山形鋼・溝形鋼・H 形鋼の話や、構造設計(断面の選び方・座屈の検討)は扱わない。

規格の数値表を全部写すことはせず、判断に要る値だけを引く。断面ごとの断面積・単位質量は JIS G 3350 の表 5〜表 10 にあるので、そちらで確かめてほしい。鋼材の重量の計算の考え方は鋼材の重量計算(比重 7.85)で扱った。

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熱間圧延の溝形鋼とは別の規格になる

JIS G 3350 の適用範囲は「建築及びその他の構造物に用いる冷間成形の軽量形鋼」で、軽量形鋼は熱間圧延鋼板・冷間圧延鋼板・めっき鋼板とその鋼帯から冷間成形によって製造される形鋼と定義されている[1]。冷間成形には、通常、ロール成形かプレスベンダー加工が使われる[1]。

これに対して、熱間圧延の溝形鋼は JIS G 3192(熱間圧延形鋼の形状,寸法,質量及びその許容差)で形状と寸法を決め、材質は SS400 なら JIS G 3101 による[2][3]。同じ「溝形」でも、規格・寸法の体系・許容差・検査文書の扱いが別なので、図面に「溝形鋼」とだけ書くと、どちらを指しているのか仕入先が判断できない。

項目 軽量形鋼(JIS G 3350) 熱間圧延の溝形鋼(JIS G 3192・材質 G 3101 SS400)
作り方 鋼板・鋼帯を冷間成形 熱間圧延
種類の記号 SSC400 の 1 種類 材質の規格の記号(SS400 など)
厚さ 1.6 mm 以上 6.0 mm 以下 表の標準断面寸法による
機械的性質 降伏点又は耐力 245 N/mm² 以上、引張強さ 400〜540 N/mm² SS400 の表による
標準長さ 6.0〜12.0 m(1 m ごと) 6.0〜13.0 m(1 m ごと・表 2)
検査文書 注文者の要求があった場合に提出 特に指定がない場合も提出(SS400)

表の軽量形鋼の値は JIS G 3350 の表 2・表 4・表 11 と箇条 16、熱間圧延の溝形鋼は JIS G 3192 の表 2 と JIS G 3101 の箇条 14 による[1][2][3]。SSC400 の伸びは、厚さ 5.0 mm 以下が 5 号試験片で 21% 以上、5.0 mm を超え 6.0 mm 以下が 1A 号試験片で 17% 以上である[1]。化学成分は炭素 0.25% 以下、りん・硫黄 0.050% 以下で、必要に応じて表にない合金元素を添加してもよいとされている[1]。

断面の名前と呼び名

JIS G 3350 の断面形状は、軽溝形鋼・軽 Z 形鋼・軽山形鋼・リップ溝形鋼・リップ Z 形鋼・ハット形鋼の 6 つで、種類の記号はどれも SSC400 である[1]。現場で C チャンと呼ぶのは、溝形の両端に内向きの折り返し(リップ)が付いたリップ溝形鋼である。リップのない軽溝形鋼とは断面性能も取付けの方法も違うので、名称で区別する。

リップ溝形鋼の寸法は H×A×C×t(高さ×辺×リップ×厚さ)で表し、表 8 に 4 桁の呼び名と標準断面寸法が並んでいる[1]。たとえば呼び名 4223 は 100×50×20 で厚さ 2.3 mm、4225 は同じ断面で厚さ 3.2 mm である[1]。製品の呼び方は、種類の記号・断面形状の名称・呼び名か断面寸法で、規格の例は「SSC400 軽溝形鋼 150×75×75×4.0」である[1]。

表の標準断面寸法は代表寸法で、受渡当事者間の協定によってそれ以外の断面寸法を使ってもよい[1]。その場合の断面積と単位質量は表 12 の式で計算する[1]。協定寸法で頼むなら、断面積と単位質量の計算値を見積書に書いてもらうと、質量で取引するときの食い違いが減る(当方の提案)。

角部の曲率半径は、厚さの中心線で、通常 1.5t とされている[1]。「通常」なので、必ずこの値になるという保証ではない。角の内側に部品を当てる、角の近くに穴をあける、といった設計なら、実物の R を仕入先に確かめる。冷間成形品の曲げの限界の考え方は、板金を扱った板金の曲げ加工でできないことも参考になる。

寸法の許容差で押さえる値

形状と寸法の許容差は JIS G 3350 の表 13 で決まっている[1]。主なものは次のとおり。

  • 高さ(H):150 mm 未満は ±1.5 mm、150 mm 以上 300 mm 未満は ±2.0 mm、300 mm 以上は ±3.0 mm
  • 辺(A・B)は ±1.5 mm、リップ(C)は ±2.0 mm、隣り合った平板部分の角度は ±1.5°
  • 長さ:7 m 以下はプラス 40 mm・マイナス 0、7 m を超えると 1 m ごとにプラス側に 5 mm を加える
  • 曲がり:全長の 0.2% 以下(平板部分の長さ方向の上下・左右)
  • 平板部分の厚さ:たとえば 2.0 mm 以上 2.5 mm 未満は ±0.25 mm、3.15 mm 以上 4.0 mm 未満は ±0.30 mm

断面寸法と直角度は、両端部を除く任意の点で測る[1]。長さの許容差は、協定によって全許容差範囲と同じ幅でマイナス側に移してもよいが、上限値はゼロを下回ってはならない[1]。切断長さを決めて買うなら、許容差の向きを注文書に書く。

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曲がりの全長の 0.2% は、6 m の材なら 12 mm になる。長い部材を基準面として使う、レールの台にする、といった使い方で、この曲がりが許されないなら、規格品のままでは足りず、矯正や追加の検査を条件にする必要がある。逆に、規格の許容差で足りるのに厳しい公差を図面に書くと、選別や加工が増えて価格に跳ね返る。

めっき鋼板から作る場合

JIS G 3350 は、めっき鋼板・鋼帯から作る軽量形鋼を本体と附属書 A で定めている[1]。めっきの種類は、溶融亜鉛めっき(JIS G 3302)、溶融亜鉛-5% アルミニウム合金めっき、溶融 55% アルミニウム-亜鉛合金めっき、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき(JIS G 3323)の 4 種類で、協定によってこれ以外の溶融めっきにしてもよい[1]。めっきの付着量を協定で決める場合は、3 点平均最小付着量 60 g/m² 以上・1 点最小付着量 51 g/m² 以上と下限が決まっている[1]。

付着量の記号は、それぞれの鋼板の規格の記号を使う。溶融亜鉛めっきの Z27 なら、JIS G 3302 の表で 3 点平均最小付着量が両面合計 275 g/m² である[4]。付着量の読み方と SECC との違いは SGCC(JIS G 3302)の発注で、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっきは同じ束の 高耐食溶融めっき鋼板の発注で扱う。

めっき品で間違えやすいのは厚さである。附属書 A では、寸法の表示に使う厚さは、めっき前の原板の厚さ(表示厚さ)である[1]。平板部分の厚さの許容差は、表示厚さに相当めっき厚さを加えた値に、元の鋼板の規格の許容差を当てはめる[1]。ノギスでめっきの上から測った値と、図面の 2.3 mm を直接比べると、めっきの分だけ厚く見える。受入で厚さを測るなら、どちらの厚さで判定するかを決めておく。引張試験の強さを計算するときの厚さも、附属書 A で 3 通りのどれかと決まっている[1]。

もう一つは切断面である。めっき鋼板を成形して切った端面にはめっきが付いていない。規格は、めっきしていない端面の防食を、必要に応じて受渡当事者間の協定によるとしている[1]。屋外や湿気の多い場所に置くなら、端面の補修塗装の有無を注文書に書く。書かなければ、端面は無処理で届くと考えておく。

めっきしていない軽量形鋼は、塗装までのさびを抑える簡易なさび止め塗装か塗油を行ってもよいとされている[1]。これは最終の防食ではない。黒皮やさび止めの上から本塗装をする前提で、塗装の仕様を別に決める。

ミルシートは求めないと出てこない

JIS G 3350 の箇条 16 は、注文者の要求があった場合に、製造業者は検査文書を注文者に提出しなければならないとしている。注文時に特に指定がない場合の文書の種類は、JIS G 0415 の検査証明書 3.1 である[1]。SS400 の熱間圧延鋼材は、特に指定がなくても検査文書を提出する規定になっていて[3]、ここが逆になっている。熱間圧延の溝形鋼と同じつもりでいると、ミルシートが付かずに届く。

検査証明書 3.1 は、製造業者が受渡検査の結果を記載し、製造部門から独立した検査代表者が妥当性を確認する文書である[5]。軽量形鋼の引張試験は、特に指定のない限り、形鋼にする前の鋼板・鋼帯で行う。注文者から形鋼で試験する要求があった場合は、形鋼の平板部分から試験片を採り、鋼板・鋼帯の試験は行わない[1]。成績書の値が「材料の値」なのか「成形後の値」なのかは、この指定で変わる。形鋼で試験する場合も試験片は平板部分から採るので、角の部分の性質を確かめる試験ではない点も押さえておく。

表示は 1 結束ごとに、種類の記号・寸法(断面寸法と長さ)・数量又は質量・製造業者名を表示しなければならない[1]。切断して小分けにされたものは、この表示が外れていることがある。受入で材料を特定したいなら、ミルシートと現品の対応をどう付けるかを仕入先と決める。

発注書に書くこと

様式は決まっていない。書いておきたい内容を一つの例にまとめる。

「品名:軽量形鋼 JIS G 3350 SSC400-Z27 リップ溝形鋼 100×50×20×2.3(表示厚さ)/長さ:4,000 mm、許容差 +5・0 mm(規格より厳しい・切断を追加工程として見積もり)/数量:20 本/端面:切断面に亜鉛末塗料で補修/検査文書:JIS G 0415 検査証明書 3.1 を要求/表示:結束ごとの表示を残して納入」

規格が協定で認めているのは、長さの許容差(+40・0 mm)を同じ幅のままマイナス側へ移すことで、幅を狭めることではない[1]。例の「+5・0 mm」のように狭めるのは規格より厳しい要求になるので、切断を追加工程として見積もってもらう前提で書く。切断や穴あけを含めて頼むなら、図面にその寸法と公差を別に書き、軽量形鋼の規格の許容差と混ざらないようにする(当方の提案)。

よくある質問

Q. 厚さ 6 mm を超える C チャンはありますか。
JIS G 3350 の適用厚さは 6.0 mm 以下である[1]。それより厚い溝形の部材が要るなら、熱間圧延の溝形鋼(JIS G 3192)や、鋼板を曲げた加工品として別の指定にする。

Q. 表にない断面寸法で頼めますか。
受渡当事者間の協定で、標準断面寸法以外の寸法を使ってもよいとされている[1]。成形ロールの有無で対応できるかが決まるので、見積の前に仕入先に確かめる。

Q. 現場で穴をあけたり溶接したりしてよいですか。
規格はその可否を決めていない。めっき品なら、穴の内面や溶接した部分の防食をどうするかを、端面の補修と合わせて決めておく。

Q. 質量は実測ですか。
JIS G 3350 では、質量は通常、計算質量で表し、表 12 の式で求める[1]。めっき品はめっき量の定数を加える附属書 A の式による[1]。単価が重量建ての見積なら、計算質量か実測かを書く。

まとめ

C チャンを指定するときは、JIS G 3350 の SSC400 リップ溝形鋼と書き、呼び名か H×A×C×t の寸法を添える。熱間圧延の溝形鋼とは規格が違い、厚さは 6.0 mm まで、ミルシートは求めたときだけ出てくる。めっき品は表示厚さがめっき前の厚さで、切断面はめっきがないので、補修の要否を書く。長さ・曲がりの許容差は規格の値で足りるかを先に確かめ、足りなければ追加工程として頼む。同じ束では、耐候性鋼 SMA の発注、工場で使うグレーチングの発注、耐摩耗鋼板の発注も扱っている。

出典・参考資料

  1. JIS G 3350:2021 一般構造用軽量形鋼(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2021 年 4 月 20 日改正)
  2. JIS G 3192:2024 熱間圧延形鋼の形状,寸法,質量及びその許容差(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 11 月 20 日改正)
  3. JIS G 3101:2024 一般構造用圧延鋼材(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 2 月 20 日改正)
  4. JIS G 3302:2022 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 12 月 20 日改正)
  5. JIS G 0415:2024 鋼及び鋼製品-検査文書(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 6 月 20 日改正)

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