発注の分割と分納をどう管理するか——4 条明示・支払期日・記録は回ごとに動く | newji

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投稿日:2026年9月6日

発注の分割と分納をどう管理するか——4 条明示・支払期日・記録は回ごとに動く

この記事のポイント(結論先出し)

1 回の発注を何回かに分けて納めてもらうとき、先に決めることは二つある。発注そのものを分けるのか、1 本の発注のまま納入だけ分けるのか。そして、回ごとに何が変わるのかである。取適法の側の答えははっきりしている。4 条明示は「1 つにまとめて明示できるのであれば発注内容ごとに分けて明示する必要はない」とされている一方で、明示しなければならない事項には「給付を受領する期日及び場所」が入っている。つまり納入日と、納入日ごとの数量が特定できる形で書かれていれば 1 枚でよく、書けないなら分けるしかない。支払期日はこれと逆で、まとめられない。第 3 条の起算日は「受領した日」なので、納入が 3 回なら支払期日も 3 つ動く。1 本の発注だからといって最終納入日から数えると、最初に受け取ったぶんが 60 日を超える。

「分ける」には二つの意味がある

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現場で「分割」と言うとき、指しているものが二つ混ざっている。1 つは、300 個の発注を 100 個ずつ 3 本の発注に割り直すこと。もう 1 つは、発注は 300 個のまま、納入だけ 3 回に分けてもらうこと。後者を分納という。

どちらでも「3 回に分けて納まる」という結果は同じに見える。だが、書類の出方も、支払期日の数え方も、残数の持ち方も別物になる。ここを決めないまま運用すると、入庫と請求が合わない、という形で後から表に出る。

項目 発注を分ける(分割) 納入を分ける(分納)
発注番号 回数ぶん増える 1 つのまま
4 条明示 発注ごとに 1 通 納入日と回ごとの数量を書けば 1 通で足りる
納品書 発注ごとに 1 通 納入の回ごとに 1 通
支払期日の起算 受領した回ごと 受領した回ごと(同じ)
残数の見え方 未納の発注が残る 発注数から納品済を引いた残数
向いている場面 仕様・納入場所・支払条件が回ごとに違う 同じものを同じ場所へ、時期をずらして納める
合計数量 分け方を変えても合計は動かさない 累計が発注数を超えないよう管理する

選び分けの目安は単純で、回ごとに「何を・どこへ・いくらで」が変わるなら発注を分ける、変わらないなら発注は 1 本のまま納入だけ分ける。仕様違いを 1 本の発注に押し込むと、給付の内容が特定できなくなり、あとで不合格が出たときにどの回のどの条件と照らすのかが決まらない。

調達現場で押さえるポイント

分納がうまく回らない原因の多くは、納期がずれることではなく「今どれだけ残っているか」を誰も一意に答えられないことにある。発注書、納品書の束、入庫伝票、担当者の手元表——数えている場所が四つあると、四つとも違う数字になる。

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4 条明示は、分けたぶんだけ要るのか

取適法第 4 条第 1 項は、製造委託等をした場合に、直ちに、書面又は電磁的方法により明示しなければならないと定めている[2]。テキストは、4 条明示は原則として発注の都度必要だと書いている[1]。分納は発注が 1 本なので、明示も原則 1 通でよい。

これを裏側から確認できる Q&A がある。ポスターのデザインと印刷を同時に発注する場合に 4 条明示を 2 つに分ける必要があるかという問いに対して、テキストは「4 条明示は、1 つにまとめて明示できるのであれば発注内容ごとに分けて明示する必要はない」と答えている[1]。まとめられるならまとめてよい。

ただし「まとめられる」には条件がある

明示規則第 1 条第 1 項第 2 号は、明示すべき事項として、製造委託等をした日、給付の内容に加えて「その給付を受領する期日」及び「場所」を挙げている[3]。回ごとに納入日が違い、数量が違い、納入場所が違うのであれば、その一つひとつが読み取れなければ明示したことにならない。

反対の例が同じ Q&A に出ている。継続的な運送の委託について契約書を 4 条明示とすることの可否を問う設問で、テキストは、明示事項を全て網羅していれば個別の明示は要らないとしたうえで、個々の内容(積込先、取卸先、配送日時など)が異なる場合には契約書の交付のみで明示事項を網羅させることはできないため、明示義務違反となると釘を刺している[1]。「1 通にまとめてよい」は「書かなくてよい」ではない。

分納で何を書けばよいかについては、必要な時期に必要な量だけ納入させる生産方式に関する Q&A が具体的である。そこでは、4 条明示に当たり事前に十分なリードタイムを確保したうえで、一定期間内において具体的に納入する日と、納入日ごとの納入数量を明示することが求められている[1]。分納の明示は、この形に揃えるのが安全である。

回ごとに変わらないものは、先に 1 度だけ明示できる

明示規則第 1 条第 3 項は、明示事項が一定期間における製造委託等について共通であるものとして、あらかじめその旨を書面の交付又は電磁的方法による提供により明示したときは、その期間内における明示はあらかじめ明示したところによる旨を明示することをもって足りると定めている[3]。支払方法や検査期間のように毎回同じものは、これで外に出せる。

テキストはこの共通事項の運用に二つの条件を付けている。発注の都度、共通事項の明示との関連性を明らかにすることと、共通事項の明示にその明示が有効である期間を明記することである[1]。新たな明示が行われるまで有効とするなら、その旨を書く必要がある。

明示事項(明示規則 第 1 条第 1 項) 分納で回ごとに書き分けるか
給付を受領する期日 書き分ける(納入日を回ごとに)
給付の内容(数量を含む) 書き分ける(納入日ごとの数量)
給付を受領する場所 回で違えば書き分ける
代金の額 単価が同じなら 1 度でよい
支払期日 起算日が回ごとに動く(次章)
検査を完了する期日 共通事項として先に明示できる
有償支給の条件 支給の時期が回に紐づくなら書き分ける

12 項目の中身と、未定事項の書き方については発注書とは|取適法の「4 条明示」12 項目と、テンプレートの選び方にまとめてある。社内の発注書テンプレートや購買基本契約書に旧下請法の条番号が残っているなら、対応関係を確認したうえで差し替えることになる。条文の新旧対応と改訂箇所を一式で点検するなら法令・規格 改訂対応パック(中小受託取引適正化法)が使える。

支払期日は、納入した回ごとに動く

ここが分納でいちばん間違えやすい。第 3 条第 1 項は、代金の支払期日について、給付の内容について検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日から起算して 60 日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において定めなければならないとしている[2]。テキストは、この 60 日は受領日を算入して数えると補足している[1]

条文が起算点に置いているのは「受領した日」であって、発注日でも、最終納入日でも、検収日でもない。したがって納入が 3 回あれば受領日も 3 つあり、支払期日も 3 つ立つ。1 本の発注だからと最後の納入をもって一括して数えると、最初に受け取ったぶんが 60 日を超える。

期日を定めなかったときは、受領日そのものが支払期日とみなされる。60 日を超える期日を定めたときは、受領日から起算して 60 日を経過した日の前日がその期日とみなされる[2]。つまり数え間違えても期日は消えず、法定の日に置き換わる

「まとめて数える」例外は役務の側にしかない

個々の給付ごとに期日を立てる原則には例外がある。ただし、テキストが例外を認めているのは役務提供委託と特定運送委託の場合で、しかも三つの要件を満たす場合に限られる。①代金の支払が、協議のうえ月単位で設定される締切対象期間の末日までに提供した役務に対して行われることがあらかじめ合意され、その旨が 4 条明示されていること、②当該期間の代金の額(算定方法でも可)が 4 条明示されていること、③連続して提供する役務が同種のものであること、である[1]

この三つが揃うと、締切対象期間の末日に役務が提供されたものとして扱われ、締切後 60 日以内の支払が認められる[1]製造委託と修理委託には、この扱いは書かれていない。物を分納で受け取る取引で「月まとめだから最終日から数える」と読み替えることはできない。

もっとも、月単位の締切制度そのものは否定されていない。支払期日の定め方を問う Q&A では「毎月末日納品締切、翌月○日支払」という書き方は具体的な日が特定可能であるとして認められている[1]。締めで支払うこと自体は問題なく、締めの起点が受領日であるという順序が動かないだけである。月末締め翌月末払いが実務上どう扱われているかは下請代金の支払期日は受領日から 60 日に整理してある。

起算日が動く場面

場面 起算日 期限
通常の納入 受領した日(受領日を算入) 60 日以内
納期前に納品された 原則は納品された時点。仮受領なら納期 60 日以内
納期前に検査を実施した 検査を終了した時点。検査中に納期が来たら納期 60 日以内
支払前に返品した 再納品した際の受領日 60 日以内
支払前にやり直させた やり直し後の物を受領した日 60 日以内

下の四つはいずれもテキストの記述による[1]。返品とやり直しについては、支払よりも前(受領後 60 日以内)に行う場合であることが前提になっている[1]分納では、この五つの場面が回ごとに独立して起こりうる。3 回のうち 2 回目だけ返品が発生すれば、2 回目の起算日だけが後ろへ動く。

発注残をどこで持つか

分納の管理は、突き詰めると「発注数 − 納品済数 = 残数」を品目ごとに正しく持てるかに尽きる。ここで決めることが三つある。

1. 納品済とみなす時点をどこに置くか

出荷したときか、届いたときか、納品書が発行されたときか、検収が終わったときか。取適法の支払期日は受領日で動くので、受領を基準にした数え方を必ず持っておくのが安全である。検収日を基準にした数え方だけを持っていると、支払期日の計算に使えない。会計・在庫との線の引き方は受発注・会計・在庫はどこで線を引くかで扱っている。

2. 取り消した納品をどう戻すか

納品書を赤伝で取り消したとき、その回の数量が累計から外れて残数に戻る、という経路が必要になる。ここが片道だと、取り消したのに残数が減ったままになり、二度と納められない品目が生まれる。

3. 過剰納品を入口で止めるか、後で吸収するか

累計が発注数を超える入力を受け付けない設計にすると、超過分は必ず発注の変更として処理される。受け付ける設計にすると、記録には残るが、あとで請求と数が合わなくなる。入口で止めるほうが、記録と請求の整合を保ちやすい

受発注システムでこれを持つ場合、見るべきは画面の有無ではなく、品目ごとに発注数・納品済数・残数の三つが同時に取れるか、そして全量を 1 通で出す経路と回ごとに出す経路が二重計上にならないかである。同じ発注に対して全量の納品書と分納の納品書が両方立つと、数量は 2 倍になって残るのに現物は 1 回ぶんしかない、という状態が作れてしまう。

分納の回数は、こちらの都合だけでは決められない

納入を細かく分けるほど、こちらの在庫は減り、相手の運送と梱包の手間は増える。この配分について、経済産業大臣が定める振興基準に書かれた文がある。振興基準は受託中小企業振興法第 3 条第 1 項に基づいて定められるもので、同条第 2 項第 2 号は定める事項として「発注書面の交付その他の方法による委託事業者の発注分野の明確化及び委託事業者の発注方法の改善に関する事項」を挙げている[5]。分納の設計はここに入る。

現行の振興基準(令和 7 年 10 月 1 日付)は、第 2 の 7 で納期及び納入頻度を扱っている。納期及び納入頻度は、中小受託事業者にとって無理がなく、かつ、労働時間の短縮が可能なものとなるよう、双方が協議して決定するものとするとし、そのうえで委託事業者の都合により多頻度小口配送等を要請する場合には、その必要なコストは委託事業者が負担すると書いている[1]。回数はこちらが決めてよいものではなく、増やすなら費用が付いてくる。

関連する定めが同じ基準の中に三つある。第 2 の 6 ⑶ は、発注するときに生産に必要なリードタイム、原材料の最小購入単位等を十分に考慮することを求めている[1]。分納の 1 回あたり数量が材料の最小購入単位を割ると、相手は端数を抱える。第 2 の 7 ⑵ は、週末発注・週初納入、終業後発注・翌朝納入といった働き方改革の妨げとなる発注の抑制と、納入事務の軽減への協力を求めている[1]。第 2 の 7 ⑶ は、発注後の発注内容の変更や追加発注、支給材の遅延によって、あらかじめ定めた納期が相手にとって無理なものとなった場合に、その納期を変更する等の措置を講ずるものとしている[1]

第 4 の 7 ⑶ には、避けるべき行為の事例が並んでいる。そのうち分納に直接かかるのが「適正なコスト負担を伴わない多頻度小口配送」「納期又は工期の特定時期への過度な集中」の二つである[1]。月末に全社の納期を寄せる運用は、後者にそのまま当たる。

振興基準そのものに罰則はない。ただし振興法第 4 条は、主務大臣が必要と認めるときに、振興基準に定める事項について指導又は助言を行うとともに、適切な具体的措置をとるべきことを勧奨すると定めている[5]。業種別ガイドラインや自主行動計画も、この基準を参照して作られる[1]

「今回はいらない」と言えるか

分納の途中で需要が落ちたとき、次の回を止めたくなる。ここには明確な線がある。

第 5 条第 1 項第 1 号は、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、給付の受領を拒むことを禁じている[2]。テキストは「受領を拒む」を給付の全部又は一部を納期に受け取らないことと定義し、発注の取消し(契約の解除)によって定められた納期に受け取らないことと、納期を延期することによって定められた納期に受け取らないことも原則として含まれるとしている[1]

この定義は分納にそのまま効く。全 3 回のうち 2 回目だけを止めるのは「一部を納期に受け取らないこと」であり、2 回目を 1 か月後ろへずらすのは「納期を延期すること」である。回が分かれていても、1 回ぶんずつが独立して受領拒否の対象になると読むのが正しい。受領を拒める「責めに帰すべき理由」は、給付の内容が 4 条明示された委託内容と異なること等がある場合と、明示された納期までに給付が行われずそのものが不要になった場合の二つに限られる[1]。それぞれに認められない場合の例が付いており、詳しくは受領拒否・返品・やり直しはどこまで許されるかにまとめてある。

数量そのものを減らす場合は、受領拒否とは別に第 5 条第 2 項第 3 号の給付内容の変更の問題になる[2]。テキストは、納入指示による変更で納入日が遅れたり納入日ごとの数量が少なくなったりして相手に保管費用や運送費用の増加分が発生したときは、それを全額負担しなければ受領拒否又は不当な給付内容の変更として問題となるとしている[1]。止めるという判断そのものより、止めたことで相手に残った費用をどう扱うかで結論が分かれる。

一部だけ不合格だったとき

分納の 2 回目に納まった 100 個のうち 5 個が検査で不合格になった。このとき決めることが二つある。その 5 個を返せるのかと、その 5 個は発注残に戻るのかである。

前者は検査の方法によって変わる。自社で全数検査をしたのか、ロット単位の抜取検査なのか、検査を省略しているのか、不適合が直ちに発見できるものだったのかで、返品できる範囲と期間が分かれる。テキストは受入検査の方法ごとに扱いを整理しており、受領後 6 か月以内(一般消費者に 6 か月を超える保証期間を定めている場合は最長 1 年)という期間が出てくるのはその一部の類型である[1]。検査の設計そのものは受入検査と工程検査の違いで扱っている。

後者は法令が決めるものではなく、こちらが決めておくものである。不合格の 5 個を発注残に戻すなら、最終回の数量が 105 個になるか、4 回目が立つ。戻さないなら、発注数は 300 個のままで納入は 295 個で終わり、差の 5 個は発注の変更として処理される。どちらでもよいが、どちらかに決めて、書き方を統一しておかないと残数が人によって違う値になる

記録の側には、この処理を残す欄がある。記録規則第 1 条第 3 号は、検査をした場合に検査を完了した日、検査の結果、及び検査に合格しなかった給付の取扱いを記載又は記録しなければならないとしている[4]。不合格分をどうしたかは、決めるだけでなく残す対象である。

記録は、回ごとに残る

第 7 条の記録について、分納で効いてくる号が三つある。記録規則第 1 条第 2 号は、給付の内容とその給付を受領する期日に加えて、その受領した給付の内容及びその給付を受領した日を記録事項として挙げている[4]。予定としての納期と、事実としての受領日が、別の項目として並んでいる。分納なら後者は回数ぶん記録されることになる。1 回ぶんの受け取りに何を残すかは納品と検収の記録をどう残すかにある。

第 3 号は前章の検査結果である。第 11 号は、代金の一部を支払い、又は代金から原材料等の対価の全部若しくは一部を控除した場合に、その後の代金の残額を記録することを求めている[4]。分納で回ごとに支払うと代金は分割払いになるので、この号が毎回動く。

テキストは、記録事項をそれぞれ別の書類又は電磁的記録に記載する場合にはその相互の関係を明らかにしなければならないとし、記載はそれぞれの事実が生じ又は明らかになったときに速やかに行わなければならないとしている[1]。分納は納品書が回数ぶん出るので、発注 1 件に対して記録が複数のファイルに散る。散らすこと自体は問題ないが、紐づけが要る。記録全体の要件は取適法が求める記録——何を書いて、2 年間どう残すかにある。

執行の実態はどうか

公正取引委員会が公表した令和 7 年度の運用状況によると、勧告件数は 39 件、指導件数は 8,261 件である[6]。勧告の対象となった違反行為類型の内訳は次のとおりで、合計が勧告件数を上回るのは 1 件の勧告に複数の類型が計上されるためである。

違反行為類型 令和 7 年度の件数
不当な経済上の利益の提供要請 31 件
代金の減額 6 件
返品 6 件
不当な給付内容の変更等 1 件
買いたたき 1 件

内訳として挙げられている類型は五つで、受領拒否と支払遅延はこの中に入っていない[6]。ただし勧告に至らなかった指導が 8,261 件あることは押さえておきたい。分納で起きる取りこぼし——1 回ぶんの受領日を拾い損ねて支払が遅れる、残数がずれて数量が合わない——は、勧告の見出しに載る前に、この 8,261 件の側で処理される種類の問題である。

分納を始める前に決める五つ

1. 発注を分けるのか、納入だけ分けるのか

回ごとに仕様・納入場所・単価が変わるなら発注を分ける。変わらないなら 1 本のまま納入を分ける。途中で切り替えると残数の計算が続かない。

2. 納入日と、納入日ごとの数量を明示に書いたか

1 通にまとめてよいのは、回ごとの日付と数量が読み取れる場合である[1]。「分割納入」とだけ書いて数量を書かないのは、明示したことにならない。

3. 支払期日を受領日ごとに立てているか

起算日は受領した日であり、受領日を算入して 60 日以内[1][2]。締めで支払うこと自体は問題ないが、締めの起点は受領日から動かない。

4. 残数を数える場所を一つに決めたか

発注書、納品書、入庫伝票、手元表のどれを正とするか。取り消した納品が残数に戻る経路と、超過を止める場所も同時に決める。

5. 回数を増やすときの費用を誰が持つか

納入頻度は協議して決めるものであり、こちらの都合で多頻度小口配送を求めるなら必要なコストはこちらが負担する[1]。回数を決める会話と、単価を決める会話を分けない。

よくある質問

分納するとき、4 条明示は納入の回数ぶん出す必要がありますか

発注が 1 本なら、明示も 1 通でよい。テキストは、1 つにまとめて明示できるのであれば発注内容ごとに分けて明示する必要はないとしている[1]。ただし明示事項には給付を受領する期日と場所が含まれるので[3]、回ごとの納入日と納入日ごとの数量が読み取れる形になっている必要がある[1]

分納の代金を、最後の納入がそろってからまとめて払ってよいですか

最初に受け取ったぶんの支払期日は、その受け取った日から起算して 60 日以内である[2]。最終納入日を起点にすると、先に受領したぶんが超える。月単位の締切対象期間の末日に給付があったものとして扱う例外は、役務提供委託と特定運送委託について三つの要件を満たす場合に限られており[1]、物の分納には書かれていない。

取引先の都合で 2 回目が遅れました。支払期日はどうなりますか

起算日は実際に受領した日なので、遅れて受領した回の支払期日は後ろへずれる。ただし納期遅れを理由に受領を拒めるのは、明示された納期までに給付が行われず、そのものが不要になった場合に限られる[1]。遅れたから受け取らない、という扱いは別の問題になる。

需要が落ちたので 3 回目を取り消したいのですが

発注の取消しにより定められた納期に受け取らないことは、原則として受領拒否に含まれる[1]。数量を減らす場合も、それによって相手に保管費用や運送費用の増加分が発生したときは、全額負担しなければ受領拒否又は不当な給付内容の変更として問題になる[1]。まず相手に何が残るかを確認し、費用の扱いを決めてから話す順序になる。

納入回数を増やしたいと言うと、単価も上がると言われました

振興基準は、納期及び納入頻度を双方が協議して決定するものとし、委託事業者の都合により多頻度小口配送等を要請する場合にはその必要なコストは委託事業者が負担するものとしている[1]。回数を増やす要請と費用の話は、切り離せないものとして基準に書かれている。

不合格になった分は、発注残に戻すべきですか

法令はどちらかを指定していない。戻すか戻さないかを社内で決め、統一しておけばよい。ただし検査をした場合は、検査を完了した日、検査の結果、及び検査に合格しなかった給付の取扱いを記録しなければならない[4]。処理を決めていないと、この「取扱い」の欄が埋まらない。

納期より早く納品されました。受領日はいつになりますか

原則として納品された時点が受領日になる。相手の要請に応じてあらかじめ定めた納期より前に納品を受けたものを仮受領として受け取った場合は、その時点ではなく納期を受領日としても問題ないとされている[1]。また納期より前に検査を実施した場合は検査を終了した時点を受領日としてよいが、検査中に納期が到来した場合は納期が受領日になる[1]

まとめ

分納の管理は、一つの区別から始まる。発注を分けるのか、納入だけを分けるのか。回ごとに仕様や納入場所が変わるなら前者、変わらないなら後者である。

そのうえで、まとめてよいものとまとめてはいけないものがある。4 条明示はまとめてよい。1 つにまとめて明示できるなら分けて明示する必要はないとされている[1]。ただし納入日と納入日ごとの数量が読み取れることが条件になる[1][3]支払期日はまとめられない。起算日は受領した日であり、受領が 3 回なら期日も 3 つ立つ[2]。まとめて数える例外は役務の側にしかない[1]

残る二つは、法令ではなくこちらの設計の問題である。残数を数える場所を一つに決めること。そして、回数を増やすときに相手側で増える費用を、回数の話と同じ場で扱うこと。振興基準は納入頻度を協議して決めるものとし、こちらの都合で多頻度小口配送を求めるならそのコストは委託事業者が負担するものとしている[1]。回数だけ先に決めて費用を後回しにすると、次の見積で必ず戻ってくる。

出典・参考資料

  1. 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
  2. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  3. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  4. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第七条の書類等の作成及び保存に関する規則(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  5. 受託中小企業振興法(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  6. 令和 7 年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組(公正取引委員会/令和 8 年 6 月 10 日)

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