- お役立ち記事
- UL 認定部品を仕入先に確かめる——型番の照合・使用条件・変更の事前通知
UL 認定部品を仕入先に確かめる——型番の照合・使用条件・変更の事前通知

この記事のポイント(結論先出し)
UL の認定部品(レコグナイズド・コンポーネント)は、単体では機能しないか機能が限られた部品・材料に対する認証で、部品使用許可条件(Conditions of Acceptability)の範囲で使うことが前提になっている[1]。認定部品だけで組んだ製品が、自動的に UL の認証製品になるわけでもない[1]。仕入先に「UL 取得済み」と言われたら、会社名と型番(カタログ番号)を出してもらい、UL の認証データベースで全桁まで照合する[2]。電線は巻きのラベル、成形品は成形者名や材料のグレードの表示で追跡する仕組みがあり[2]、認証品への変更は事前に UL の審査を受ける決まりがある[3]。仕入先の無断の材料変更が事故につながった例もあるので[4]、変更の事前通知を契約に書く。
目次
「UL 取得済み」の一言で済ませない
北米向けの機器に使う部品を調達するとき、仕入先から「この部品は UL を取っています」と言われることがある。この一言だけで受け入れると、後から困ることが多い。取得しているのが別の型番だった、色違いの材料グレードは対象外だった、厚さが認証の条件より薄かった、取得はしているが使い方が条件の外だった、といった具合である。
UL(UL Solutions)は北米を中心とする製品安全の認証機関で、米国労働安全衛生局(OSHA)の認定試験所制度(NRTL)で認められた試験所の一つとして掲載されている[5]。OSHA は、この制度で民間の機関を認め、各 NRTL は認められた範囲の試験規格について製品を認証し、独自の登録された認証マークで規格への適合を示す、と説明している[5]。
この記事は、UL の認定部品を仕入先から買うとき、何を出してもらい、どこで照合し、受入で何を確かめるかを、発注する側の目線でまとめる。樹脂材料の燃焼性の等級(UL94)そのものの解説はUL94/V-0 対応の樹脂選定と肉厚設計の記事に譲り、ここでは認定の確かめ方に絞る。
📄 実務で使うなら — 原価のつかみ方(全 5 章・無料サンプルあり)
認証の三つの種類と、認定部品の位置づけ
UL Solutions の日本語のよくある質問は、UL の認証にはリスティング、コンポーネント・レコグニション、クラシフィケーションの 3 種類があると説明している[1]。
| 種類 | 対象 | 調達で気をつけること |
|---|---|---|
| リスティング | 一般に最終製品。製品サンプルが UL の安全規格に基づいた試験を受け、要求事項を満たしている場合にマークの使用が許可される | 完成品として買う場合。組み込んで使うなら、その使い方が認証の範囲か |
| コンポーネント・レコグニション(認定部品) | 単体では機能しない、または機能が制限された部品・材料(プラスチック、電線、プリント配線板など) | 部品使用許可条件の範囲で使う。最終製品は別に評価が要る |
| クラシフィケーション | 特定の危険、規定条件下の性能、UL 規格以外の規格などについて評価された製品 | 何について評価されたのかの範囲を読む |
表の対象の欄は、前出のよくある質問の説明をまとめたものである[1]。認定部品について、同じよくある質問は、これらの部品には部品使用許可条件(Conditions of Acceptability)が定められており、これを考慮して最終製品に組み込んだり使用したりする必要がある、としている[1]。
認定部品だけで組んでも、製品の認証にはならない
同じよくある質問は、部品がすべて認定部品で構成されている製品が自動的に UL のリステッド製品になるかという問いに対し、認定は部品使用許可条件という限定条件の下で認証するものなので、最終製品を評価する際にはそれらの部品が製品の中でシステムとしてどう機能するかを判定する必要があり、認定部品の有無に関わらず最終製品は全てリスティングの評価を受ける必要がある、と答えている[1]。そのうえで、認定部品を使うと製品の試験が簡単になり、時間や費用を節約できる、としている[1]。
この考え方は、日本の情報通信機器などの安全規格にも共通する。JIS C 62368-1:2026 は、部品が安全の保護(セーフガード)の一部になる場合、その部品はこの規格か、関連する JIS・IEC の部品規格の安全要求に適合することなどを求め、注記で、部品規格によって適合するとみなされるのは、その部品が明確にその規格の適用範囲内にある場合に限られる、としている[6]。また、部品を定格に従って正しく使っているかを確認し、定格に従わずに使う場合は機器の中で生じる状態で部品規格の試験を行う、としている[6]。認証を持った部品でも、条件の外で使えば、その認証は根拠にならない、ということである。
仕入先に何を出してもらい、どこで照合するか
以下は規格の要求ではなく、受入で揉めないための実務の提案である。
1. 会社名と型番(カタログ番号)を出してもらう
UL Solutions の追跡要求の文書は、認定部品は認定部品マークで識別されるとし、部品の公表情報に別の定めがない限り、そのマークは認定を受けた会社の名称と、カタログ番号または型番、そして(UL の認証データベースで指定されている場合に)認定部品マークからなる、と説明している[2]。つまり、部品の照合の鍵は会社名と型番である。マークの表示は任意とされている場合もあるので[2]、マークがないことだけで判断せず、会社名と型番で照合する。
2. UL の認証データベースで引く
同じ文書は、認定部品の情報は UL Product iQ で公表されているとしている[2]。仕入先には、該当する掲載ページ(ファイル番号、会社名、型番の一覧が分かるもの)を出してもらい、発注側でも同じ画面を引いて照合する。照合した日付と画面の写しを記録に残す。
3. 型番の全桁を照合する
認証の一覧には、型番の一部の桁が色や仕様の違いを表す記号として載っていることがある。発注する型番の全桁が、一覧のどの行に当たるかを確かめる。材料の場合は、グレード名に加えて、色と厚さの条件も確かめる。
4. 使い方の条件を確かめる
部品使用許可条件、定格、温度、厚さなど、認証の前提になっている条件を、自社の使い方と突き合わせる。条件の中身が掲載情報だけで分からないときは、仕入先に確認を求める。
5. 作っている工場を確かめる
前出のよくある質問は、製造者を、認証品の製造や組立を行い、UL のフォローアップ工場検査を通常受ける施設を保持・運営する企業、と説明している[1]。商社経由で買う場合は、実際に作っている会社と工場がどこかを確かめる。
6. 最終製品の認証の手順書と照合する(最終製品を作る側の場合)
最終製品が UL の認証を受けている場合、使ってよい部品は最終製品の手順書(フォローアップサービス・プロシージャ)に記載されている。UL Solutions の追跡要求の文書は、全ての部品と材料が手順書の記載どおりであることを保証し、記録を検査員がすぐ確認できるようにしておくことは製造者の責任である、としている[2]。購買部門が手順書を見ずに部品を切り替えると、ここで食い違いが生まれる。
部品の種類ごとの追跡の仕組み
UL Solutions の追跡要求の文書は、部品の種類ごとに、どう識別して追跡するかを定めている[2]。受入で確かめる項目に直すと、次のようになる。
成形品・加工されたプラスチック部品
成形・注型・ポッティングなどで加工したプラスチック部品の追跡の仕組みでは、部品、出荷箱、または同梱の仕様書の表示によって材料を確かめられるようにし、表示の項目として、成形者・加工者の名称(複数の工場がある場合は工場の所在地)、部品の識別、成形または加工の日付、材料メーカー名とグレード名を挙げている[2]。材料メーカー名とグレード名は、最終製品の製造者と成形者が合意した記号でもよい、とされている[2]。
同じ文書は、最終製品の製造者は、特に成形者や加工者が添加剤や粉砕材(リグラインド)、再生プラスチックを使う場合に、部品の仕様が損なわれていないか、手順書に注意を払う必要がある、と書いている[2]。成形の外注先に、粉砕材や再生材を混ぜてよいかどうかを発注条件として書いておく。樹脂のグレード指定と代替グレードの承認の手順は、同じシリーズの樹脂のグレード指定と代替グレードの承認で扱った。
材料の燃焼試験などの結果は、決まった寸法の試験片で得たものである。たとえば UL 規格の大電流アーク発火試験について調べた電気学会の論文は、長さ 127 mm、幅 12.7 mm、厚さ 1.6 mm または 3.2 mm の試料を用いている[7]。認証の一覧に載っている値がどの厚さのものかを確かめ、自社の部品の肉厚と比べる。
巻いて納品される電線・ケーブル
同じ文書は、認証を受けた電線・ケーブルは、元の UL マークのラベル(一般に巻きに貼るかタグで付ける)までたどれなければならず、電線に印字された表示だけでは認証の確認として十分ではない、としている[2]。ラベルが巻きから外されて捨てられると追跡ができなくなるとして、ラベルを巻きと一緒に保管すること、電線の仕入先にラベルを外装ではなく巻きそのものに付けてもらうこと、受入検査でラベルの付いていない巻きは受け入れないことなどを勧めている[2]。
ワイヤーハーネス・実装済みの基板
外部の工場で組み立てるワイヤーハーネスについては、最終製品の工場では使われた部品の追跡ができないため専用の仕組みがあり、梱包の最小単位に付けた認定部品マークが、この仕組みで作られたハーネスを識別する唯一の方法である、とされている[2]。実装済みのプリント配線板についても、組立者が材料と部品の受入から出荷までの記録を持ち、組立者の名称と UL のコード、材料・部品の製造者名と型式を表示する仕組みが定められている[2]。ハーネスの発注で指定することは、同じシリーズのワイヤーハーネスの発注で指定することで扱った。基板とコネクタの調達は、プリント基板の発注で指定することとコネクタを調達するときで扱う。
マークも掲載もない「非掲載部品」もある
UL Solutions には、認定部品と同じ評価を受けていながら、申請者の求めで正式な認証にしていない部品(Unlisted Component)の仕組みもある。この部品には UL マークは付かず、認証のデータベースにも載らず、同じ申請者の製品にしか使えない、とされている[8]。仕入先が「UL の評価は受けている」と言う部品がこれに当たる場合、自社の製品に使えるとは限らない。データベースで引けない部品は、認定部品として扱わない。
変更は事前に知らせてもらう
UL の認証は、取った時点で終わりではない。UL Solutions の工場検査の解説資料は、認証を続ける間、要求事項に適合し続けていることを確かめるために製造工場で定期的な検査が行われ、検査は通常予告なしで行われるとしている[3]。そして、UL マークを表示した製品に変更を加える際には、事前に UL Solutions の評価と審査を受けるために変更内容を提出し、適合していれば変更の許可が出て手順書が改訂される、という手順を示している[3]。
問題は、仕入先がこの手順を踏まずに材料を変えたときである。製品評価技術基盤機構(NITE)の資料は、AC アダプターの DC プラグで、絶縁樹脂の難燃剤が当初の臭素系から耐水性の劣る赤リンに変わり、経年で絶縁性が下がってショートした例を挙げ、難燃剤の種類まで契約で指定していなかったため契約違反にならなかった、としている[4]。そのうえで、材料(主成分だけでなく添加成分も含む)や製造工程を変えるときは事前に承諾を得る旨を契約書に書くこと、たとえ契約上の仕様を満たしていても変更の際は事前に承諾を得る旨を明記することを、対策として挙げている[4]。
UL の認定部品を買うときも同じで、発注書や取引の基本契約に次のことを書いておく。
- 型番・材料・製造工場・製造工程を変えるときは、事前に書面で知らせ、承諾を得ること
- UL の認証に関わる変更は、UL の審査を経てから出荷すること
- 認証が取り消し・停止になったときは、直ちに知らせること
日本国内で使う部品なら、別の制度がある
UL の認証は主に北米の市場で求められるもので、日本国内で電気用品を販売するときの法令上の要求は電気用品安全法である。UL の認証があることは、電気用品安全法の技術基準への適合や届出の代わりにはならない。電気用品安全法の対象になる部品を調達するときに確かめることは、同じシリーズの電気用品安全法(PSE)の対象部品を調達するときで扱った。
よくある質問
仕入先が出してきた認証の書類が、UL の発行した証明書の体裁をしている
書類だけで判断せず、会社名と型番でデータベースを引いて照合する。書類の型番とデータベースの型番が一致し、掲載が現在も有効であることを確かめる。
代替の部品も UL の認定部品なら、そのまま切り替えてよいか
最終製品が UL の認証を受けている場合、使ってよい部品は最終製品の手順書に書かれている。代替部品が認定部品でも、手順書に載っていなければ、最終製品の認証の手続きが要る。切り替える前に、最終製品の認証を管理している部署に確認する。
受入で毎回データベースを引く必要があるか
初回の採用時に照合し、その後は定期的に(たとえば年に一度)掲載が続いているかを確かめ、変更の通知があったときに改めて照合する、という頻度が現実的である。電線の巻きのラベルや成形品の表示は、ロットごとの受入で確かめる。
まとめ
UL の認定部品は、部品使用許可条件の範囲で使うことが前提の認証で、認定部品だけで組んでも最終製品の認証にはならない。仕入先には会社名と型番を出してもらい、UL の認証データベースで全桁まで照合し、使い方の条件と作っている工場を確かめる。電線は巻きのラベル、成形品は成形者名と材料グレードの表示で追跡する。マークも掲載もない非掲載部品は認定部品として扱わない。認証品の変更は UL の事前審査が要る決まりだが、仕入先がそれを踏まないこともあるので、変更の事前通知と承諾を契約に書いておく。
出典・参考資料
- FAQ 1-2. 安全試験・認証(UL Solutions Japan/2024 年 3 月更新)
- UL Traceability Requirements — Material and Components Used for US/Canada Safety Certifications Mark Follow-Up Services(ULID-001198 Issue 7.1)(UL Solutions 配布の PDF)
- FUStart:UL Solutions フォローアップサービス検査の準備(UL Solutions 配布の PDF/2025 年 2 月)
- 身近に潜むサイレントチェンジ問題について(独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全センター)
- Nationally Recognized Testing Laboratories: UL LLC(米国労働安全衛生局(OSHA)/2026 年 10 月 2 日閲覧)
- JIS C 62368-1:2026 オーディオ・ビデオ,情報及び通信技術機器-第 1 部:安全性要求事項(日本産業標準調査会 JIS 検索/2026 年改正)
- 杉江忠・山本喜万「UL 大電流アーク発火試験方法の発火点の判定方法」電気学会論文誌 A 116 巻 7 号(電気学会/1996 年)
- Unlisted Component Program(ULID-001204 Issue 4.0)(UL Solutions 配布の PDF/2024 年)
部品の認証まで確かめながら製造委託を進めたいとき
newji の OEM/ODM 生産は、品質要求・数量・納期・コストをもとに国内外のサプライヤーネットワークから生産先を選び、試作で寸法・外観・機能を検証してから量産に進む製造委託のサービスです。電子機器では基板(PCB・PCBA)や筐体の調達、部品の組込み・検査・梱包までを扱い、海外の生産先との技術的な仕様のすり合わせも日本語でご相談いただけます。
この記事の理解を深める
無料ホワイトペーパーをプレゼント
製造業の現場で使える実務資料(PDF)を無料でお届けします。"こんな資料が届きます" ↓ 下のボタンからどうぞ。
FREE DOCUMENT — サービス資料(PDF・無料)
見積依頼から比較まで、
ひとつの画面にまとめる方法
Newji one は、製造業の調達・受発注に特化したクラウド/AIエージェント。見積依頼・発注書作成・進捗管理・承認をひとつの画面に集約し、AIが比較と異常検知を担当。最後の「GO」だけ人が押す仕組みです。
▶ 見積依頼から比較までをひとつの画面にまとめる方法を、資料で見る(PDF・無料)
- 見積〜発注〜納期を一元管理。催促・転記のムダをゼロに
- AIが相見積もり比較と異常検知。あなたは判断だけに集中
- 取引先は「招待」で完全無料。自社コストだけで取引先ごとデジタル化
※ 取引先から招待された企業様は完全無料でご利用いただけます
見積・発注クラウド Newji one
受発注が増えるほど、入力・確認・催促が重くなる。
受発注管理を“仕組み化“して、ミスと工数を削減しませんか。
見積・発注・納期まで一元管理できます。
