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シャフトの真直度 JIS B 0021 の指定——軸線と母線、振れとの違い、材料の曲がりは保証外

この記事のポイント(結論先出し)
シャフトの真直度は、図面の書き方で規制するものが変わる。JIS B 0021 では、公差値の前に ⌀ を付けると軸線が直径 t の円筒の中に、付けずに円筒の表面に指示すると母線(表面の線)が t だけ離れた平行二平面の間にあることを求める[1]。どちらのつもりかを決めないと、仕入先と測る対象が食い違う。個別の指示が無い形体の真直度は、図面に JIS B 0419 の等級を書いた場合だけ決まり、長さ 300 mm を超え 1,000 mm 以下なら H 級 0.3 mm、K 級 0.6 mm、L 級 1.2 mm である[2]。材料の段階では、みがき棒鋼の JIS G 3123 も熱間圧延棒鋼の JIS G 3191 も、曲がりの数値を定めていない[4][5]。両端で支えて回したときの振れの読みは、真直度とは別のものなので、合否をどちらで判定するかを注文時に決める。
目次
この記事の範囲
この記事は、機械に組み込むシャフト(軸)・ロッド・ピンなど細長い部品を発注するときに、真直度(まっすぐさ)を図面と注文書でどう指定し、受け取るときにどう確かめるかを扱う。幾何公差の測定方法を仕入先と合わせる一般的な手順は幾何公差の測り方を仕入先と合わせるで扱った。この記事は真直度に絞る。
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真直度は「何の」まっすぐさかを決める
JIS B 0621 は、真直度を、直線形体の幾何学的に正しい直線からの狂いの大きさと定義している[3]。そのうえで真直度の表し方を 4 つに分けている[3]。
1. 一方向の真直度
その方向に垂直な平行二平面で直線形体を挟んだとき、間隔が最小になる場合の二平面の間隔で表す。水平方向・鉛直方向の真直度はこの例である。
2. 互いに直角な二方向の真直度
二組の平行二平面で挟んだときの、それぞれの間隔で表す。
3. 方向を定めない場合の真直度
円筒の軸線などについて、その直線形体をすべて含む円筒のうち最も径の小さい円筒の直径で表す。
4. 表面の要素としての直線形体の真直度
回転面の母線などについて、平行二直線で挟んだときの間隔で表す。
図面の幾何公差の表し方を定める JIS B 0021 も、真直度の公差域を同じように書き分けている。対象とする平面内では t だけ離れた平行二直線、円筒表面の任意の母線では t だけ離れた平行二平面、公差値の前に ⌀ を付けると直径 t の円筒になる[1]。母線についての公差域は旧 JIS B 0021 とは意味が違う、と備考にあるので[1]、古い図面を流用するときは注意がいる。
| 図面の指示 | 規制するもの | 公差域 | 向いている部品の例(実務の見立て) |
|---|---|---|---|
| 円筒の表面に指示(⌀ なし) | 表面の母線 | t だけ離れた平行二平面 | 摺動面・シールが当たる面 |
| 直径の寸法に指示、公差値に ⌀ | 軸線 | 直径 t の円筒 | 組み付ける穴を通すピン・長い軸 |
| 平面内の線に指示 | 指定した方向の線 | t だけ離れた平行二直線 | 案内レールの上面など |
| 指示なし・JIS B 0419 の等級あり | 該当する線 | 表 1 の普通公差(長さで決まる) | 機能に効かない部分 |
| 指示なし・等級も無し | 何も決まらない | — | (避ける) |
真直度は形状公差なので、データムを必要としない[1]。JIS B 0021 は、形体の形状公差は形状偏差だけを規制し、姿勢偏差や位置偏差は規制できない一方、位置公差や姿勢公差は形状偏差も規制する、と整理している[1]。シャフトが軸受に支えられて回る部品で、効くのが「軸受の中心に対する振れ」なら、真直度より円周振れや全振れで指示する方が機能に合うことがある。この選び方は設計の判断で、購買としては、図面の指示がどれかを読み取り、仕入先も同じ読み方をしているかを確かめる。
振れの読みと真直度は同じではない
シャフトのまっすぐさを、両端のセンタ穴やVブロックで支えて回し、中央にダイヤルゲージを当てて読む方法で確かめることは多い。JIS B 0021 の円周振れは、データム軸直線のまわりに回転させる間に、任意の横断面で読んだ値で規制するものである[1]。真直度の公差域(平行二平面や円筒)とは定義が違う。
違いを数字で見ると分かりやすい。両端で支えて回したとき、中央の軸線が支持点を結ぶ線から e だけ離れていれば、ダイヤルゲージは 1 回転の間に軸線が上下に e ずつ動くのを読むので、振れの読み(最大と最小の差)は 2e になる。これに断面の丸さの狂いも加わる(当方の説明)。つまり「振れ 0.1 mm」と「真直度 0.1 mm」は同じ曲がりを表していない。仕入先が振れで検査して成績書を出してきたときは、図面の真直度とどう対応させたかを書いてもらう。
どの点を取ってどう計算するかも合わせる。JIS B 0021 の附属書 C(JIS B 0021:1984 の内容を再表示したもの)は、単独形体の真直度は、理想的な直線から各点までの距離が公差の値以下のときに正しいとし、直線の姿勢は実際の表面との最大距離ができるだけ小さくなるように選ぶ、としている[1]。測った点の並びに、両端を結んだ線を当てるのか、最小になるように線を選ぶのかで、出てくる値が違う。支える位置(センタ穴か外径か)も結果を変えるので、センタ穴の指定は同じシリーズのセンタ穴 JIS B 1011 の指定を参照してほしい。
⌀ を付けた軸線の真直度は、方向を定めない場合の真直度で、軸線をすべて含む最も径の小さい円筒の直径で表す[3]。互いに直角な二方向の真直度(二組の平行二平面の間隔 f1・f2 で表すもの)とは別の表し方である[3]。2 方向で測るなら、方向ごとの値を別々に公差と比べるのではなく、各断面で求めた 2 方向の中心位置を組み合わせて軸線の点とし、それらを含む最小の円筒の直径で ⌀t と比べる(当方の説明)。方向ごとの値で判定したいなら、図面を方向ごとの真直度で書いてもらう。
個別の指示が無いときは、JIS B 0419 の等級で決まる
JIS B 0419(ISO 2768-2:1989 に基づく)は、個々に公差の指示が無い形体の幾何公差を定める。真直度と平面度の普通公差は表 1 により、真直度は該当する線の長さを基準に選ぶ[2]。表 1 から抜き出すと次のとおりである[2]。
| 呼び長さの区分(mm) | H 級 | K 級 | L 級 |
|---|---|---|---|
| 30 を超え 100 以下 | 0.1 | 0.2 | 0.4 |
| 100 を超え 300 以下 | 0.2 | 0.4 | 0.8 |
| 300 を超え 1,000 以下 | 0.3 | 0.6 | 1.2 |
| 1,000 を超え 3,000 以下 | 0.4 | 0.8 | 1.6 |
この普通公差が効くのは、図面の表題欄かその付近に「JIS B 0419-mK」のように規格番号と等級を書いた場合である[2]。長さの普通公差(JIS B 0405)だけを書いた図面では、形の狂いは何も決まっていない。この点は普通公差(JIS B 0405)の等級指定でも扱った。
JIS B 0419 には、発注の場面で効く規定がもう二つある。一つは採否で、特に明示した場合を除いて、普通幾何公差を超えた工作物でも、工作物の機能が損なわれない場合は自動的に不採用としてはならない、としている[2]。普通公差の範囲を少し外れたシャフトを、機能を確かめずに一律に返品する運用は、この規定と合わない。厳しく管理したい部分は、普通公差に頼らず個別に公差を書く。
もう一つは包絡の条件で、全ての単一のサイズ形体に包絡の条件 Ⓔ を適用するなら表示に「E」を加える(例 JIS B 0419-mK-E)。ただし包絡の条件は、形体の寸法公差より大きい真直度公差を個々に指示した形体、例えば素形材には適用できない、と備考にある[2]。
材料の段階では、曲がりは数値で保証されていない
研削や引抜きで仕上げた丸棒を買って、ほとんど削らずにシャフトにすることがある。このとき気を付けたいのは、材料の規格が曲がりの数値を決めていないことである。
みがき棒鋼の JIS G 3123 は、寸法許容差を JIS B 0401-2 の軸 h の公差等級で定め、研削の丸は IT6・IT7 などと加工方法ごとに等級を割り当てている[4]。一方、まっすぐさについては、外観の箇条で「まっすぐでねじれがなく,各部の断面形状が正しく,表面は滑らかで,使用上有害なきずがあってはならない」と書いているだけで、曲がりの数値の許容差は無い[4]。熱間圧延棒鋼の形状・寸法・質量の許容差を定める JIS G 3191 も、径・長さ・質量の許容差と外観を定めていて、曲がりの数値の規定は無い[5]。
したがって、材料のまっすぐさをあてにした設計なら、材料を注文するときに曲がりの許容値と測り方を書くか、仕上げた部品の真直度を図面で指示して仕入先に保証してもらう必要がある。どちらで保証させるかを決めないまま、「研削棒だからまっすぐなはず」で進めないこと。みがき棒鋼の種類と記号の指定は同じシリーズのみがき棒鋼 SGD の指定で、機械構造用鋼の棒の指定はS45C・SCM435 などの材料指定で扱う。
加工と熱処理で曲がる
細長い部品は、削っている間の切削抵抗、焼入れのときのひずみ、めっきや表面硬化の後で曲がることがある。仕入先は曲がったものを押して直す(矯正する)ことがあるが、矯正した部品が使い方によって許されるかどうかは部品で違う。真直度の要求がある部品では、次の点を注文時に決めておく(当方の提案)。
1. 真直度を測る時点
熱処理や表面処理の後か、最終仕上げの後か。図面の要求は完成品の状態に対するものとして書く。
2. 矯正の可否
許すか、許すなら熱処理の前に限るか、矯正の後に応力除去などを要求するか。熱処理の指定の仕方は熱処理を図面でどう指定するかで扱った。
3. 保管と輸送
長い軸は自重でたわむ。横に寝かせて置くときの支え方や、梱包の仕方で曲がりが出ないようにする。
油圧シリンダのピストンロッドのように、押し方向の力を受ける長い部品では、まっすぐさは座屈のしにくさにも関わる。油圧シリンダの規格は、ロッドがどの位置にあっても曲がりや座屈が生じないよう、ストローク長・荷重・取付方法に注意を払うことを求めている。詳しくは同じ束の油圧シリンダの仕様書に書くことを参照してほしい。
受け入れるときに確かめること
1. 図面の指示の読み方
⌀ の有無で、軸線か母線かを仕入先と同じに読んでいるか。
2. 測り方の記録
支え方(センタ穴・Vブロック・定盤)、測った点の数と間隔、計算の方法。振れで代用したなら、その換算の考え方。
3. 測った時点
熱処理や表面処理の後の値か。
4. 普通公差の扱い
個別の指示が無い部分に JIS B 0419 の等級が書かれているか。書かれていなければ規格上の判定基準が無いので、真直度で合否を付けるなら別に取り決める。
図面と注文書の書き方の例
決まった様式は無い。発注側として書いておきたい内容を一つの例にまとめる。
図面:「Φ20 h7 の部分の軸線の真直度 ⌀0.05(全長 400 mm)。上記以外の幾何公差は JIS B 0419-mK による。」
注文書:「真直度は最終仕上げ後に測定すること。測定は両端センタ支持、長さ方向に 50 mm 間隔の各断面で軸線の位置(断面の中心)を互いに直角な 2 方向について求め、全ての点を含む最小の円筒の直径で評価した値を成績書に記載すること。振れで代用する場合は事前に方法を提出すること。熱処理後の矯正は事前承認を要する。」
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よくある質問
図面に「曲がり 0.1 以下」とだけ書いてあります。どう読めばよいですか
「曲がり」は JIS B 0021 の公差の種類の名前ではない。軸線の真直度か、母線の真直度か、振れのつもりかで測る対象が変わる[1]。発注の前に設計に確かめ、幾何公差の記号で書き直してもらう。
研削棒の在庫品をそのまま使いたいのですが、まっすぐさは保証されますか
JIS G 3123 は、みがき棒鋼に「まっすぐでねじれがなく」と求めているが、曲がりの数値の許容差は定めていない[4]。数値が要るなら、材料の注文書に曲がりの許容値と測り方を書いて仕入先と合意するか、部品として真直度を保証させる。
普通幾何公差を少し超えたシャフトが届きました。不合格にできますか
JIS B 0419 は、特に明示した場合を除いて、普通幾何公差を超えた工作物でも機能が損なわれない場合は自動的に不採用としてはならない、としている[2]。機能への影響を確かめてから判断する。厳しく管理したい部分は個別の公差で指示する。
まとめ
シャフトの真直度は、JIS B 0021 の指示の仕方で、軸線(⌀ 付きで直径 t の円筒)か、表面の母線(平行二平面)か、指定した方向の線(平行二直線)かが変わる。真直度は形状公差でデータムが要らない一方、軸受に対する振れが効く部品なら振れで指示する方が機能に合うことがある。両端で支えて回したときの振れの読みは真直度とは別物で、中央の曲がり e に対して振れは 2e になるので、合否をどちらで判定するかを決める。個別の指示が無い部分は JIS B 0419 の等級を図面に書いた場合だけ決まり、300 mm を超え 1,000 mm 以下なら H 級 0.3 mm・K 級 0.6 mm・L 級 1.2 mm である。材料の JIS G 3123・G 3191 は曲がりの数値を定めていないので、材料か部品のどちらで保証させるかを注文時に決め、測る時点と矯正の可否も書く。
同じ束では、油圧シリンダの仕様書に書くこと、制御盤の製作を外注するとき、銘板(ネームプレート)の発注、はんだ JIS Z 3282 の指定も扱う。
出典・参考資料
- JIS B 0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1998 年 1 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
- JIS B 0419:1991 普通公差-第 2 部:個々に公差の指示がない形体に対する幾何公差(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2025 年 6 月 20 日確認)
- JIS B 0621:1984 幾何偏差の定義及び表示(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1984 年 2 月 1 日改正・2024 年 6 月 20 日確認)
- JIS G 3123:2004 みがき棒鋼(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2004 年 9 月 20 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
- JIS G 3191:2022 熱間圧延棒鋼及びバーインコイルの形状,寸法,質量及びその許容差(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 3 月 22 日改正)
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