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締め請求書をどう作るか——端数処理と、締めた後に動いたときの処理

この記事のポイント(結論先出し)
月に何十件も納品がある取引先と、締め日でまとめて請求をやりとりする。この「まとめる」作業は、単に金額を足すことではない。消費税法は、適格請求書に書く取引年月日について「課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間」と定めており、一か月分をまとめて 1 枚にすること自体は条文が正面から認めている。問題になるのはその先の 2 つで、ひとつは消費税額の端数処理をどの書類で行うか(一の適格請求書につき、税率ごとに 1 回)、もうひとつは締め日を支払期日の起算点とすり替えていないか(起算点はあくまで受領日)である。締め請求書を作る手順は、この 2 つを先に決めてから組む。決めずに作ると、納品書の税額を足した数字と請求書で計算し直した数字が食い違う、という形で表に出る。
目次
締め請求書とは、何をまとめた書類か
納品のたびに請求書を出す運用もあれば、一か月分をためて月に一度だけ請求する運用もある。後者で出す書類を、実務では締め請求書・合計請求書・月まとめ請求書などと呼ぶ。呼び方は会社ごとに違うが、中身は共通していて、ある期間に発生した複数の納品を 1 枚に集約し、その合計額で支払を求める書類である。
まず制度の側から位置づけを確認する。消費税法第 57 条の 4 第 1 項は、適格請求書発行事業者が課税資産の譲渡等を行った場合において、相手方から交付を求められたときは、6 つの事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類を交付しなければならないと定めている[5]。その 6 つのうち第 2 号が「課税資産の譲渡等を行つた年月日」なのだが、ここには括弧書きが付いていて、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につきまとめて書類を作成する場合には、当該一定の期間を記載すればよい、とされている[5]。
つまり「10 月 1 日〜10 月 31 日」と期間で書いてよい。日ごとに 1 枚ずつ出す必要はない。国税庁のタックスアンサーも、適格請求書等の記載内容として「課税期間の範囲内で、一定の期間内の取引をまとめて記載する方法」が認められると明示している[3]。締め請求書は、制度に合わせて作った例外的な書式ではなく、条文が最初から想定している形である。
調達現場で押さえるポイント
「まとめてよいか」で迷う必要はない。迷うべきはまとめた結果として税額をどこで計算するかである。ここを決めずに月末を迎えると、経理と購買で違う数字を持つことになる。
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締め日をどう決めるか、締めをどの単位で切るか
締め日は「具体的な日が特定できる」形で決める
締め日そのものに法令上の決まりはない。末日締めでも 20 日締めでも 15 日締めでもよい。ただし締め日は支払期日とセットで相手に明示する事項なので、その書き方に制約がかかる。
取適法第 4 条第 1 項は、製造委託等をした場合に、直ちに、給付の内容・代金の額・支払期日及び支払方法その他の事項を書面又は電磁的方法で明示しなければならないと定めている[2]。取適法テキストは、この『支払期日』欄について「代金の支払年月日を具体的に記入することが望ましいが、支払制度を記入しても差し支えない」としたうえで、記載例を 3 通り挙げている[1]。
| 4 条明示の『支払期日』欄の書き方 | 扱い |
|---|---|
| 毎月○日納品締切、翌月○日支払 | 記載例として挙げられている |
| 検収締切日毎月○日、支払日翌月○日 | 同上 |
| 納品締切日毎月○日、現金支払日翌月○日 | 同上 |
| 納品後○日以内 | 認められない(支払期日が特定されない) |
| ○月○日まで | 認められない(期限であって期日ではない) |
テキストの Q&A も同じ線を引いている。「毎月末日納品締切、翌月○日支払」は月単位の締切制度を採用した場合であるが、この場合も具体的な日が特定可能であり認められる。一方「○月○日まで」「納品後○日以内」は支払の期限を示しているだけで具体的な日が特定できないため認められない、とされている[1]。締め日を決めるということは、そこから支払日が一意に決まる形まで決めることを意味する。
締めを支払期日の起算点にすり替えない
もうひとつ、締め制度でいちばん危ないのがここである。取適法第 3 条第 1 項は、代金の支払期日は、検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日から起算して 60 日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならないとしている[2]。起算点は受領日であって、締め日ではない。
そして第 3 条第 2 項にみなし規定が置かれている。支払期日が定められなかったときは受領した日が、第 1 項に違反して支払期日が定められたときは受領した日から起算して 60 日を経過した日の前日が、それぞれ支払期日と定められたものとみなす[2]。定めなければ即日払いの期日が立ち、60 日を超える定めをすれば 60 日目の前日に切り詰められる。どちらも当事者の合意より条文が優先する。
テキストには、この点を突いた設例がある。納入された時点では受領とせず、一般消費者に販売した時点をもって受領したこととし、その日から 60 日後、あるいは当月末締翌月末払で支払うと合意した場合はどうか、という問いに対し、受領日とは別に「一般消費者に販売した日」という特定されない日を基準にしているため支払期日も特定されず、支払期日を定める義務に違反する、と答えている[1]。締めの基準日を受領日から切り離すと、締め制度そのものが違反になる。
締め日と支払期日の関係は、日数の数え方まで含めて別の論点になるので、締め日と支払期日の関係——受領日起算をどう管理するかと、受領日起算そのものを扱った下請代金の支払期日は受領日から 60 日にゆずる。この記事は書類を作る側に絞る。なお条番号は 2026 年 1 月の施行で動いており、旧下請法の「3 条書面」は取適法の 4 条明示、「5 条書面」は 7 条の記録にあたる。社内規程や購買基本契約書に旧法の条番号が残っている場合の点検には、条文の対応関係をまとめた法令・規格 改訂対応パック(中小受託取引適正化法)が使える。
締めの単位は取引先で切るのが基本、事業所ごとに分けるかは選べる
締めの単位をどこで切るか。相手が複数の事業所を持ち、事業所ごとに契約している場合、請求書を事業所ごとに分けるべきか、1 枚にまとめてよいか。
国税庁の Q&A はこれに直接答えている。事業所ごとに締結した契約に基づき課税資産の譲渡等を行っているとしても、その対価の額を請求書内で合計し、適格請求書の記載事項とすることは何ら問題ない[4]。そのうえで注意が 1 つ付いていて、契約ごとに算出した消費税額等を参考として記載することは問題ないが、法令で求められる適格請求書の記載事項としての消費税額等にはならない[4]。内訳欄に契約別の税額を並べるのは構わないが、それは参考値であって、記載事項としての税額は合計から計算した 1 つだけ、ということである。
通貨は別の話になる。異なる通貨の納品を 1 枚にまとめると、合計欄が意味を持たなくなる。円建てと外貨建てが混ざる取引先では、締めを通貨ごとに分けるのが実務上の解になる。
端数処理が、締め請求書の作り方を決める
ここがこの記事の中心である。消費税法施行令第 70 条の 10 は、適格請求書に記載すべき消費税額等の計算方法を定めており、税抜価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額に 100 分の 10(軽減税率は 100 分の 8)を乗じる方法、または税込価額を同様に合計した金額に 110 分の 10(軽減は 108 分の 8)を乗じる方法のいずれかとする、この場合において算出した金額に 1 円未満の端数が生じたときは、当該端数を処理するものとすると規定している[6]。
国税庁の Q&A はこれを一文にまとめている。適格請求書に記載する消費税額等の端数処理は、一の適格請求書につき、税率ごとに 1 回行うこととなる[4]。切上げ・切捨て・四捨五入のどれを採るかは事業者が選べるが、回数は 1 回で固定されている。
「納品書ごとに 1 回」か「請求書で 1 回」か
ここで締め請求書の作り方が 2 つに分かれる。Q&A の問 65 は、取引の都度に納品書を交付し、請求は一か月分をまとめている事業者に対して、2 通りの対応を示している[4]。
1 つ目は、請求書に適格請求書として必要な事項を全て記載する方法。この場合、請求書の交付のみをもって交付義務を果たすことができ、納品書の様式は変えなくてよい[4]。税額は請求書の合計から 1 回だけ計算する。
2 つ目は、納品書と請求書の 2 種類で記載事項を満たす方法。適格請求書は一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、交付された複数の書類相互の関連が明確であり、交付対象となる取引内容を正確に認識できる方法(例えば請求書に納品書番号を記載するなど)で交付されていれば、その複数の書類の全体により記載事項を満たすことになる[4]。この場合、納品書に「税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率」と「税率ごとに区分した消費税額等」を書き、請求書に登録番号を書く形になり、端数処理は納品書につき税率ごとに 1 回行うこととなる[4]。
どちらを採るかで、合計が 1 円ずれる
この 2 つは「どちらでもよい」ではなく、結果として出てくる金額が違う。同じ 3 枚の納品を、税率 10 パーセントの単一税率で計算した例を並べる(端数は切捨て)。
| 納品書 | 税抜金額 | 方法 B:納品書で税額計算 | 方法 A:請求書で税額計算 |
|---|---|---|---|
| No.0011 | 12,345 円 | 1,234 円(1,234.5 を切捨て) | — |
| No.0012 | 23,456 円 | 2,345 円(2,345.6 を切捨て) | — |
| No.0013 | 34,567 円 | 3,456 円(3,456.7 を切捨て) | — |
| 合計 | 70,368 円 | 7,035 円 | 7,036 円(70,368 × 10% = 7,036.8) |
| 請求総額(税込) | — | 77,403 円 | 77,404 円 |
差は 1 円である。金額としては小さいが、この 1 円は「どちらかが間違っている」ことを意味しない。納品書に税額を書いたなら端数処理は納品書ごとに 1 回で、その合計が 7,035 円になる。請求書に税額を書いたなら端数処理は請求書で 1 回で、7,036 円になる。どちらも制度どおりである。
問題になるのは両方をやったときだ。納品書に税額を印字しておきながら、請求書では合計から計算し直す。すると相手が納品書を積み上げた金額と請求書の総額が合わず、照合が止まる。1 か月に 40 枚の納品書があれば、税率別に最大 40 回ぶんの丸めが積み上がるので、ずれが 1 円で収まるとは限らない。締め請求書の設計でまず決めるのは、税額をどちらの書類に載せるかである。納品書・受領書・検収書の役割分担そのものは納品書・受領書・検収書の違いに整理してある。
調達現場で押さえるポイント
締め請求書を作るシステムが「合計から税額を計算し直す」作りになっているか、「納品書の税額を足すだけ」の作りになっているかを、導入前に確認する。ここは設定項目ではなく設計思想なので、後から切り替えられないことがある。
締め請求書に載せる項目
適格請求書として求められる記載事項は、消費税法第 57 条の 4 第 1 項の 6 号に列挙されている[5]。締め請求書の形でそれぞれをどう満たすかを並べる。
| 記載事項(第 57 条の 4 第 1 項) | 締め請求書での満たし方 |
|---|---|
| ① 発行事業者の氏名又は名称及び登録番号 | 請求書のヘッダーに固定で入れる |
| ② 課税資産の譲渡等を行った年月日 | 締め期間で代替できる(例:10/1〜10/31) |
| ③ 資産又は役務の内容(軽減対象である旨を含む) | 請求書に書くか、納品書に書いて番号で結ぶか |
| ④ 税抜(又は税込)価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率 | 税率別の小計欄。税率が混在するなら行を分ける |
| ⑤ 税率ごとに区分した消費税額等 | 端数処理はこの書類につき税率ごとに 1 回 |
| ⑥ 交付を受ける事業者の氏名又は名称 | 宛名。締めの単位と一致させる |
③ を納品書に置く場合、請求書には納品書番号を載せて関連を明確にする[4]。国税庁の記載例でも、請求書の明細が「納品書番号/金額」の 2 列になっており、品名は納品書側にある[4]。締め請求書の明細行は、品目ではなく納品書 1 枚を 1 行にするという設計は、この形に対応している。
なお、支払期日・支払方法・振込先は適格請求書の記載事項ではないが、取適法の側で明示すべき事項なので、実務では同じ紙面に載る。適格請求書の要件と取適法の明示事項は別々の制度なので、片方を満たしても他方は満たされない。
締めた後に動いたときの処理
締め請求書を出したあとで、締め漏れの納品が出てきた、単価が違っていた、返品が発生した——という事態は必ず起きる。パターンごとに処理が違う。
| 起きたこと | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 締め対象から漏れた納品が出た | 翌月の締めに含めるか、当月分を出し直す | 運用の判断 |
| 記載事項に誤りがあった | 修正した適格請求書を交付する義務がある | 第 57 条の 4 第 4 項[5] |
| 単価・数量の誤りを翌月で調整している | 継続的な運用なら翌月請求書での加減算でよい | Q&A 問 34[4] |
| 返品・値引きがあった | 適格返還請求書(5 項目)。請求書と 1 枚にまとめられる | 第 57 条の 4 第 3 項[5] |
誤りがあったときの 2 つの直し方
交付した適格請求書の記載事項に誤りがあったときは、交付した相手方に対して修正した適格請求書を交付しなければならない[5]。国税庁は交付方法として 2 通りを挙げている[4]。
ひとつは誤りがあった事項を修正し、改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法。もうひとつは当初に交付したものとの関連性を明らかにし、修正した事項を明示したものを交付する方法である[4]。どちらを採る場合も、当初交付した適格請求書の写しと、修正したものの写しの両方を保存する必要がある[4]。当初の 1 枚を差し替えて上書きしてしまうと、この保存ができない。
翌月で調整してよい範囲
単価誤りや数量誤りで当月の請求金額が変わる場合に、翌月の請求書で前月の過少請求・過大請求分を加減算して調整している運用は多い。Q&A の問 34 はこれを認めていて、過少請求等について翌月の請求書等において継続的に調整している場合には、翌月の請求書等において、過少請求等に関する金額を当該請求書における課税資産の譲渡等の対価の額から直接加減算した金額及びその金額に基づき計算した消費税額等を記載する方法により、修正した適格請求書の交付があったものとして取り扱って差し支えないとしている[4]。
条件は「継続的に調整している」ことである。今月だけ都合よく翌月送りにする、という使い方は想定されていない。また、この場合の当月分の請求書に記載する税率ごとの合計金額と消費税額等は、前月分の加減算を行った調整後の金額になる[4]。内訳に前月修正の行を立て、合計はその調整後で出す、という形になる。
相手が請求書を出す場合と、こちらが支払通知書を出す場合
ここまでは「納入側が締め請求書を出し、購買側が受け取る」前提で書いた。実務にはもうひとつ、購買側が支払額を計算して通知し、相手の請求書を受け取らない形がある。
この場合に購買側が作るのは仕入明細書・支払通知書の類で、適格請求書とは記載事項が違う。仕入を行った事業者が自ら作成する仕入明細書等の記載事項は、①書類作成者の氏名又は名称、②相手方の氏名又は名称および登録番号、③取引年月日、④取引内容、⑤税率ごとに区分して合計した支払対価の額及び適用税率、⑥税率ごとに区分した消費税額等の 6 つで、しかもその書類に記載されている事項について取引の相手方の確認を受けたものに限るという条件が付く[3]。登録番号が自社ではなく相手のものになる点と、確認を取る手続が要る点が、請求書との決定的な違いになる。
どちらの形を採るか、確認をどう取るかは、それ自体でひとまとまりの論点なので支払通知書とは——請求書なしで支払を確定させる仕組みに譲る。締める作業の観点だけ言うと、支払通知書に切り替えると、締めの主導権が購買側に移る。相手の請求書を待つ必要がなくなる代わりに、集計の正しさと相手の確認を自社で担保することになる。
電子で出したときの保存
締め請求書を PDF やデータで送ると、それは電子取引データになる。国税庁の案内は、申告所得税・法人税に関して帳簿書類を保存する義務のある事業者が、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合、そのデータを保存しなければならないとしており、受け取った場合だけでなく、送った場合にも保存する必要があると明記している[7]。締め請求書を出す側にも保存義務がかかる。
満たす要件は 3 つで、改ざん防止のための措置をとること、「日付・金額・取引先」で検索できること、ディスプレイやプリンタ等を備え付けることである[7]。保存するファイル形式は問われず、PDF に変換したものやスクリーンショットでも問題ないとされている[7]。専用システムがなくても、表計算ソフトで索引簿を作る方法や、ファイル名に規則性をもって「日付・金額・取引先」を入れて特定のフォルダに集約する方法で対応できる[7]。この方法の詳細は電子帳簿保存法にシステムなしで対応するにまとめてある。
あわせて、適格請求書を交付した事業者には写しの保存義務があり[5]、その写しは交付した日の属する課税期間の末日の翌日から 2 か月を経過した日から 7 年間保存することとされている[6](消費税の確定申告期限の延長特例の適用を受けている法人は、延長後の提出期限の翌日から起算する[3][6])。取適法の 7 条記録は 2 年間なので[1]、同じ取引について 2 つの保存期間が並走する。短いほうに合わせて消すと、税務の側で足りなくなる。取適法側の記録の中身は取適法が求める記録にある。
なお 7 条記録を電磁的記録で作る場合には、公正取引委員会等の検査に当たって内容が容易に確認できるよう、記録事項について訂正又は削除を行った場合にこれらの事実及び内容を確認できること、必要に応じて画面に表示し書面に出力できること、中小受託事業者の名称等や範囲指定した発注日により検索できる機能を有していること、の 3 つを満たす必要がある[1]。「訂正・削除の事実と内容が分かること」が入っている点が、締め請求書の作りに直結する。上書きで直す仕組みは、この要件と相性が悪い。
締め請求書を作る手順
ここまでを、月次で回す手順に落とす。
手順 1:締めの単位を確定する
取引先ごとに、締め日・支払サイト・通貨・宛名(事業所を分けるかどうか)を決める。事業所ごとの契約でも 1 枚にまとめてよいが、そのときの税額は合計から出した 1 つになる[4]。
手順 2:税額をどの書類に載せるか決める
納品書に載せるなら端数処理は納品書ごと、請求書に載せるなら請求書で 1 回[4]。決めたら書類のテンプレートと集計ロジックの両方をその前提に揃える。
手順 3:対象の納品を確定する
期間に入る納品を、何の日付で判定するかを決める。出荷日か、受領日か、検収日か。取適法の支払期日は受領日起算なので[2]、請求の基準日と支払期日の基準日が違う場合は、その差を承知したうえで運用する。
手順 4:赤伝と既請求分を除く
返品・値引きに伴う赤伝は適格返還請求書の側で扱う[5]。また、すでに別の請求書に含めた納品を二重に拾わない仕組みが要る。
手順 5:発行し、内容を固定する
発行後にマスタの住所や登録番号を直しても、交付済みの請求書の内容が変わってはいけない。修正が必要なら、修正した適格請求書を別に交付し、当初分の写しも残す[4][5]。
Newji one での締め請求書の作り
この記事を書いている当社の受発注プラットフォーム Newji one では、締め請求書の発行を次の形で持っている。何ができるかだけを書く。
締め日と取引先を指定すると、その取引先あてに発行済みで、赤伝ではなく、まだどの請求書にも紐づいていない納品書を集める。集める対象かどうかは、納品書の実出荷日(無ければ発行日)が締め期間に入っているかで判定する。発行前に対象の一覧と合計を確認する画面があり、確定させるのは人の操作である。
金額は、各納品書が発行時に固定した合計額をそのまま足す。請求書の側で単価から計算し直すことはしない。消費税は税率別に集計し、税率ごとに課税標準額と税額を持つ。明細は 1 行が 1 枚の納品書で、納品日・納品書番号・税抜金額を並べる形になっている。前述の、請求書の明細を納品書番号で構成する作り方に合わせてある。ただしどちらの書類を適格請求書の税額の載せ場所にするかは各社の決めごとなので、自社の運用に合うかは顧問税理士に確認してほしい。
発行すると、そのときの発行元・相手先の会社情報、登録番号、担当者、締め日、支払期限、締め期間、明細、合計が丸ごと固定される。あとからマスタを直しても、発行済みの請求書の中身は変わらない。支払期限は自社に設定した締め日と支払サイトの日数から計算される。集計に使った納品書には請求書の識別子が付き、同じ納品書が二度請求されることがない。請求書を取り消すとその紐づけが外れ、納品書は再び請求できる状態に戻る。取消には理由の入力が必要で、入金が記録されている請求書は取り消せない。複数の通貨が混ざる期間は発行できず、通貨ごとに期間を分けるよう促される。
不一致が出たときの処理そのものは請求が合わないときどう処理するか、赤伝と消込の扱いは赤伝と消込をどう扱うかにある。
よくある質問
一か月分をまとめて 1 枚にしてよいのですか
よい。消費税法第 57 条の 4 第 1 項第 2 号は、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につきまとめて書類を作成する場合には、取引年月日に代えて当該一定の期間を記載すればよいとしている[5]。国税庁も「課税期間の範囲内で、一定の期間内の取引をまとめて記載する方法」を認められる記載方法として挙げている[3]。
納品書の税額を足した金額と、請求書で計算した金額が合いません
端数処理を 2 回行っているためで、どちらか一方に決める必要がある。端数処理は一の適格請求書につき税率ごとに 1 回とされており[4][6]、納品書に「税率ごとに区分した消費税額等」を記載するなら端数処理は納品書につき税率ごとに 1 回になる[4]。
締め日を過ぎてから納品書が回ってきました
すでに交付した請求書の記載事項に誤りがあるわけではないので、修正交付の義務が当然に生じるわけではない。翌月の締めに含めるのが素直である。単価や数量の誤りによる過少請求の調整を継続的に翌月で行っている場合には、翌月の請求書での加減算をもって修正した適格請求書の交付があったものとして取り扱って差し支えないとされている[4]。
事業所ごとに契約していますが、請求書は分けるべきですか
分けなくてよい。事業所ごとに締結した契約に基づくものでも、対価の額を請求書内で合計して適格請求書の記載事項とすることは問題ない[4]。契約ごとの税額を参考として内訳に書くことも問題ないが、それは法令上の記載事項としての消費税額等にはならない[4]。
締め日を基準に「翌月末払い」と決めれば 60 日の要件は満たしますか
締め日ではなく受領日から起算する。支払期日は、検査をするかどうかを問わず受領日から起算して 60 日の期間内で、かつできる限り短い期間内に定めなければならない[2]。定めなかったときは受領日が、60 日を超えて定めたときは受領日から起算して 60 日を経過した日の前日が、支払期日とみなされる[2]。締め制度の書き方自体は「毎月末日納品締切、翌月○日支払」のように具体的な日が特定できれば認められる[1]。
請求書を出し直すとき、元の請求書は差し替えてよいですか
差し替えではなく、当初交付したものの写しと修正したものの写しの両方を保存する[4]。交付方法は、記載事項の全てを改めて記載したものを出す方法と、当初のものとの関連性を明らかにして修正した事項を明示したものを出す方法の 2 通りがある[4]。
データで送った締め請求書は、送信済みフォルダに残っていれば足りますか
足りない。改ざん防止の措置、「日付・金額・取引先」での検索、ディスプレイやプリンタ等の備付けの 3 つが要る[7]。専用システムがなくても、索引簿を作る方法や、ファイル名に日付・金額・取引先を規則的に入れて特定のフォルダに集約する方法で対応できるとされている[7]。
まとめ
締め請求書は制度の外側にある便宜的な書式ではない。消費税法第 57 条の 4 第 1 項第 2 号が、まとめて作成する場合の取引年月日を「当該一定の期間」と書いている以上、まとめること自体は条文が用意した選択肢である[5]。だから作るときに考えるべきは「まとめてよいか」ではなく、まとめた結果の数字をどう決めるかになる。
決めることは、まず 2 つある。1 つ目は、税額をどの書類に載せるか。端数処理は一の適格請求書につき税率ごとに 1 回で[4][6]、納品書に載せれば納品書ごと、請求書に載せれば請求書で 1 回になる[4]。両方でやると、納品書を積み上げた金額と請求書の総額が合わなくなる。2 つ目は、締め日を支払期日の起算点にすり替えないこと。起算点は受領日であり、定めなかったときも 60 日を超えて定めたときも、条文がみなしで期日を立てる[2]。
そのうえで、締めた後に必ず起きる変動——漏れ・誤り・返品——の処理経路を先に決めておく。これが 3 つ目になる。修正した適格請求書は交付義務があり[5]、当初分の写しも残す[4]。継続的な運用であれば翌月調整も認められる[4]。締めるという作業は、月末に金額を足すことではなく、この 3 つの決めごとを毎月同じ形で実行することである。
出典・参考資料
- 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
- 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
- No.6625 適格請求書等の記載事項(国税庁)
- 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(国税庁 軽減税率・インボイス制度対応室/平成 30 年 6 月・令和 8 年 5 月改訂)
- 消費税法(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
- 消費税法施行令(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
- 電子帳簿保存法 電子取引データの保存方法をご確認ください【令和 6 年 1 月以降用】(国税庁/令和 5 年 7 月)
納品書を積み上げた金額と、請求書の総額を合わせたまま締める
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