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投稿日:2026年9月6日

締め日と支払期日の関係——同じ制度でも、待たされる日数は倍近く違う

この記事のポイント(結論先出し)

締め日は社内の区切りであって、法令が見ている日ではない。取適法が起算日に選んでいるのは受領日で、締め日という言葉は条文に一度も出てこない。だから点検するときは「締切日から支払日まで何日か」ではなく、締切期間の初日に受け取った品が支払日まで何日待つかを数える。この最も長くなる 1 件で見ると、月末締め翌月末払いは 61 日目の支払になるが、公正取引委員会のテキストは「受領後 60 日以内」を「受領後 2 か月以内」として運用しており、支払遅延として問題とはしていないと明記している。一方で、20 日締め翌月末払い(72 日目)や月末締め翌々月 10 日払い(71 日目)は収まらない。安全側の目安は支払日を締切日の翌月の同じ日まで(月末締めなら翌月末まで)に置くことで、そこから外れる制度は、締め日を動かすか支払日を前へ動かすかのどちらかになる。

「締め日」は取適法の条文に一度も出てこない

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支払条件の話は、たいてい締め日から始まる。月末締めか 20 日締めか、翌月末払いか翌々月払いか。社内でも取引先との会話でも、この組み合わせが支払条件そのものとして扱われている。ところが取適法(中小受託取引適正化法)の条文を読むと、締め日という言葉はどこにも出てこない。

第 3 条第 1 項が定めているのは次のとおりである。製造委託等代金の支払期日は、委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日から起算して、60 日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない[2]。起算日は受領日であり、締め日ではない。締め日は、その受領が何件も積み上がったものを事務処理の都合でまとめるための、社内の区切りにすぎない。

受領日の中身も決まっている。公正取引委員会のテキストは、製造委託または修理委託における給付の受領を、中小受託事業者の給付の目的物を検査の有無にかかわらず受け取り、自己の占有下に置くことと説明している[1]。委託事業者の検査員が取引先の工場へ出張して検査を行う場合は、検査員が出張して検査を開始すれば受領となる[1]。納品書・受領書・検収書のどれがこの日を証明するのかは納品書・受領書・検収書の違いで整理している。

この記事が扱うのは、その受領日と、社内の締め日とのずれである。起算日そのものの考え方と、遅れたときの遅延利息の実務は支払期日は受領日から 60 日——起算日と遅延利息の実務にまとめてあるので、重なる部分はそちらを参照してほしい。

調達現場で押さえるポイント

支払条件を点検するとき、多くの現場が「締切日から支払日まで何日か」を数えている。この数え方では、締切期間のあいだに受け取った品の待ち時間が入らない。数えるべきは、締切期間の初日に受け取った 1 件である。

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同じ制度でも、待たされる日数は倍近く違う

月末締め翌月末払いを例にとる。6 月 1 日に受け取った品も、6 月 30 日に受け取った品も、同じ 7 月 31 日に支払われる。前者は受領日を 1 日目として 61 日目、後者は 32 日目で、差は 29 日ある。制度は 1 つでも、実際に待つ日数は品物ごとに違う。差は締切期間の日数から 1 を引いた分なので、月末締めなら最大で 30 日開く。

法令が見ているのは制度ではなく 1 件ごとの受領日なので、点検は当然、いちばん長くなる 1 件で行うことになる。つまり締切期間の初日、前回の締切日の翌日に受け取った品である。ここが 60 日に収まっていれば、同じ締切期間のほかの品はすべて収まる。

61 日目になっても支払遅延とはされない理由

ここで最初の疑問が出る。月末締め翌月末払いは 61 日目の支払になる月がある。61 は 60 より大きい。違反ではないのか。

テキストはこの点に正面から答えている。継続的な取引で月単位の締切制度を採用している場合、大の月をまたぐと月の初日に受領したものの支払が受領から 61 日目または 62 日目になることがあるが、本法の運用に当たっては「受領後 60 日以内」の規定を「受領後 2 か月以内」として運用しており、大の月(31 日)も小の月(30 日)も同じく 1 か月として運用しているため、支払遅延として問題とはしていない[1]。具体例も添えられており、毎月末日納品締切・翌月末日支払の制度で 6 月 1 日に受領した物品等の代金を 7 月 31 日(61 日目)に支払っても、支払期日が受領日から 60 日を超えて定められたとはしていない[1]

この結論は、当サイトの受発注・会計・在庫はどこで線を引くかと前掲の記事でも同じことを書いている。締切制度そのものを疑う必要はない。

ただし範囲は限られる。テキストがこの運用を述べているのは月単位の締切制度についてであり、締切期間が 1 か月を超える制度(隔月締めなど)までこの運用が及ぶとは書かれていない[1]。締切期間を長くとる制度を採るなら、2 か月という言い方に頼らず、受領日から 60 日で数え直したほうがよい。

締め・支払の組み合わせを日数に直す

実際に使われている組み合わせを、締切期間の初日に受け取った品で数え直した。日付は 2026 年で計算している。最後の列の「2 か月」は、前掲の運用に合わせて暦の応当日で数えたものである。

締め・支払の組み合わせ 最も長くなる受領日 その品の支払日 受領日を 1 日目として 2 か月に収まるか
月末締め 翌月末払い 6 月 1 日 7 月 31 日 61 日目 収まる(テキストが具体例として明示)
20 日締め 翌月 20 日払い 4 月 21 日 6 月 20 日 61 日目 収まる(上の運用に当てはめた計算)
15 日締め 翌月 15 日払い 5 月 16 日 7 月 15 日 61 日目 収まる(上の運用に当てはめた計算)
月末締め 翌月 20 日払い 6 月 1 日 7 月 20 日 50 日目 収まる(上の運用に当てはめた計算)
20 日締め 翌月末払い 5 月 21 日 7 月 31 日 72 日目 超える(上の運用に当てはめた計算)
15 日締め 翌月末払い 5 月 16 日 7 月 31 日 77 日目 超える(上の運用に当てはめた計算)
月末締め 翌々月 10 日払い 6 月 1 日 8 月 10 日 71 日目 超える(上の運用に当てはめた計算)
25 日締め 翌々月 5 日払い 6 月 26 日 9 月 5 日 72 日目 超える(テキストが違反行為事例として挙げている組み合わせ)

8 行のうち収まるのは 4 つ、超えるのは 4 つである。最後の行はテキストの違反行為事例そのもので、自動車部品の製造を委託していた委託事業者が毎月 25 日納品締切・翌々月 5 日支払の支払制度を採っていたため、給付を受領してから 60 日を超えて代金を支払っていた、と記載されている[1]。ここで問題になっているのは個別の事務の遅れではなく、制度の組み合わせそのものである。

収まらない 4 つに共通しているのは、締切日から支払日までの間隔が 1 か月より長いことである。上の表の月で数えると、20 日締め翌月末払いは 41 日、15 日締め翌月末払いは 46 日、月末締め翌々月 10 日払いは 41 日、25 日締め翌々月 5 日払いは 42 日ある。そこに締切期間の 1 か月が乗るので、合計が 2 か月を超える。

安全側の上限は「締切日の翌月の同じ日」

ここまでを支払日の側から書き直すと、点検の物差しが 1 本になる。

支払日は、締切日の翌月の同じ日まで。20 日締めなら翌月 20 日まで、15 日締めなら翌月 15 日まで、月末締めなら翌月末日まで。この位置に置けば、締切期間の初日に受け取った品も 2 か月に収まる。前掲の表で収まっている 4 行は、いずれもこの条件を満たしている。

逆にこの日を 1 日でも過ぎる制度を採るなら、締切期間の初日に受け取った品が 2 か月を超える。締め日を動かして締切期間を短くするか(月 2 回締めにするなど)、支払日を前へ動かすかのどちらかになる。取引先との協議事項になるのはこの部分で、締め日と支払日を同時に動かせないなら、どちらを動かすかを先に決めておく必要がある。

なお、支払期日の書き方そのものにも決まりがある。テキストの想定問答は、「○月○日まで」と「納品後○日以内」は支払の期限を示すだけで具体的な日が特定できないため認められず、「○月○日」と「毎月末日納品締切、翌月○日支払」は具体的な日が特定可能であり認められる、と整理している[1]。月単位の締切制度を支払期日として書くこと自体は、正面から認められている。定められた支払期日より前に代金を支払うことも差し支えない[1]

締め日が正しくても支払が遅れる 4 つの型

制度の日数が収まっていても、運用の側で崩れることがある。テキストの違反行為事例に出てくる型のうち、締め日の運用に直接かかわるものを 4 つ挙げる。

崩れ方 何が起きるか テキストでの位置づけ
検収を締切の基準にしている 検査完了が翌月にずれた分だけ、締切対象月が 1 か月後ろへ動く 違反行為事例(検収締切制度を採用したことによる支払遅延)
締切日間近の納品を拾えない 事務処理が締切後になり、翌月の締切対象に回されて支払が翌々月になる 違反行為事例(事務処理の遅れを理由とした支払遅延)
納期前に届いた品を納期の月で計上する 実際にはその前に受領しているのに、買掛の計上が納期の月まで動かない 違反行為事例(納期前納入品を受領していたことによる支払遅延)
請求書の到着を待って締める 請求書の提出遅れや伝票処理の遅れの分だけ、支払が後ろへ動く 違反行為事例(請求書が提出されないこと等を理由とした支払遅延)

1. 検収を締切の基準にしている

制度の日数は収まっているのに違反になる型である。テキストの違反行為事例では、電気機械器具部品及び製品の組立・加工を委託していた委託事業者が、毎月末日納入締切・翌月末日支払の支払制度を採りながら、検査完了をもって納入があったものとみなし、当月末日までに納入されたものであっても検査完了が翌月となった場合には翌月に納入があったものとして計上していたため、一部の給付に対する代金の支払が受領から 60 日を超えていた、とされている[1]

制度の日数(月末締め翌月末払い)は前掲のとおり収まっている。それでも違反になったのは、締切対象を決める日付を受領日ではなく検査完了日にしていたからである。テキストは検収締切制度を採る場合について、検査に相当日数を要することがあっても、検査をするかどうかを問わず受領日から 60 日以内かつできる限り短い期間内に設定した支払期日に代金を支払う必要があることから、検査に要する期間を見込んだ支払制度とする必要があると書いている[1]。検収締切を続けるなら、支払日をその分だけ前へ置くことになる。

2. 締切日間近の納品を拾えない

合成樹脂の成形加工等を委託していた委託事業者の例が挙げられている。毎月 20 日納品締切・翌月 20 日支払の制度を採っていたところ、締切日間近に納品されたものの事務処理が 20 日過ぎになることがあり、この場合は翌月の締切対象とされて代金が翌々月 20 日に支払われていたため、一部の代金の支払が遅延していた[1]

20 日締め翌月 20 日払いは前掲の表で 61 日目、収まる側である。ところが 1 回締切を落とすと 91 日目になる。締切をまたいだときの逃げ道が用意されていない制度は、事務が 1 日遅れただけで 30 日ぶん飛ぶ。締切後に判明した受領を当月の締切対象へ戻せるか、それができないなら別払いで処理できるかを、あらかじめ決めておく必要がある。

3. 納期前に届いた品を納期の月で計上する

プリント基板等の製造を委託していた委託事業者の例では、毎月末日納品締切・翌月 20 日支払の制度を採っていたが、指定納期の属する月より前に納品があった場合にはその時点で受領しているにもかかわらず、当該物品に係る買掛金を指定納期の属する月に計上していたため、支払遅延が生じていた[1]

ここには例外がある。テキストの想定問答は、中小受託事業者の要請に応じてあらかじめ定めた納期より前に納品を受けた物品について、これを仮受領として受け取った場合は、その時点を受領日とせずに納期を受領日としても問題ないとしている[1]。ただし仮受領として受け取ったかどうかが分かれ目で、通常どおり受け取って倉庫に入れているなら、その日が受領日である。

4. 請求書の到着を待って締める

板金の修理等を委託していた委託事業者の例では、毎月末日納品締切・翌月末日支払の制度を採りながら、中小受託事業者からの請求書の提出遅れや伝票処理の遅れを理由に、受領から 60 日を超えて代金を支払っていた[1]。テキストの想定問答も、請求書の提出の有無にかかわらず受領後 60 日以内に定めた支払期日までに代金を支払う必要があると答えている[1]

そのうえでテキストは、社内の手続上、中小受託事業者からの請求書が必要である場合には、中小受託事業者が請求額を集計し通知するための十分な期間を確保しておくことが望ましく、提出が遅れる場合には速やかに提出するよう督促して支払遅延とならないように代金を支払う必要がある、と付け加えている[1]。締め日から支払日までの日数は、請求書の到着を待つ余裕まで含めて設計しておくものだ、と読める。締め請求書の側の作り方は締め請求書をどう作るかで扱っている。

支払日が金融機関の休業日に当たるとき

締め日の設計でもう 1 つ抜けやすいのが、支払日が土曜・日曜や祝日に当たる月の扱いである。テキストは、支払日が土曜日または日曜日に当たるなど支払を順延する期間が 2 日以内である場合であって、委託事業者と中小受託事業者との間で支払日を金融機関の翌営業日に順延することについてあらかじめ書面等で合意している場合には、結果として受領日から 60 日(2 か月)を超えて代金が支払われても問題とはしていない、としている[1]。順延後の支払期日が受領日から起算して 60 日(2 か月)以内に収まる場合は、あらかじめ書面等で合意していれば、順延期間が 2 日を超えても問題とはしていない[1]

裏返すと、合意がないまま翌営業日に払うと支払遅延になる。実際、自動車の修理等を委託していた委託事業者が毎月末日納品締切・翌月末日支払の制度で支払日が休業日に当たり翌営業日に支払っていたが、あらかじめ書面等で合意していなかったため一部の代金の支払が遅延していた、という違反行為事例が挙げられている[1]。テキストが示す共通事項の明示の書式例にも、支払期日が金融機関の休業日に当たる場合に翌営業日に支払うこととするなら書面または電磁的記録で合意する必要があるため、その旨を記入すると注記されている[1]

遅れたときに何が起きるか

締め日の設計を誤って支払が遅れた場合、効いてくるのは 3 つある。遅延利息、勧告、そして罰則である。

遅延利息は第 6 条第 1 項が定めている。委託事業者は、支払期日までに代金を支払わなかったときは、中小受託事業者に対し、給付を受領した日から起算して 60 日を経過した日から支払をする日までの期間について、その日数に応じ、未払金額に公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない[2]。その率を定めているのが令和 7 年公正取引委員会規則第 9 号で、年 14.6 パーセントと定められている[3]

起算点に注意がいる。定めた支払期日からではなく、受領日から 60 日を経過した日からである[2]。締め日を基準にした社内の遅延管理では、この日は出てこない。受領日を 1 件ごとに持っていないと、遅延利息の計算期間そのものが出せない。

項目 取適法の遅延利息 民法の遅延損害金
年 14.6 パーセント 法定利率(年 3 パーセントを出発点に 3 年を一期として変動)
起算 受領日から 60 日を経過した日 遅滞の責任を負った最初の時点
根拠 第 6 条第 1 項と公正取引委員会規則 第 404 条第 2 項・第 3 項、第 419 条第 1 項

民法は、金銭債務の不履行による損害賠償の額を、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定めるとし、約定利率が法定利率を超えるときは約定利率によるとしている[6]。法定利率は年 3 パーセントを出発点として、法務省令で定めるところにより 3 年を一期として変動する仕組みである[6]。取適法の 14.6 パーセントは、この水準とは別に置かれた率だと分かる。

勧告の側も見ておきたい。第 10 条は、第 5 条の規定に違反する行為があると認めるときに、公正取引委員会が違反委託事業者に対して、代金や減じた額のほか第 6 条の規定による遅延利息を支払うことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする、と定めている[2]。遅延利息は、取引先から請求されたときにだけ考えるものではない。

罰則の位置づけは分けて理解しておく必要がある。第 14 条の罰金 50 万円以下の対象は、第 4 条第 1 項の明示をしなかったとき、第 4 条第 2 項の書面を交付しなかったとき、第 7 条の書類・電磁的記録を作成せず、保存せず、または虚偽のものを作成したときである[2]。第 3 条と第 5 条は罰則の対象に入っていない。つまり支払期日の定め方そのものに罰金はないが、支払期日を明示しなかった場合には罰金がかかりうる。締め日の書き方を誤って支払期日が特定できない状態になっていると、後者に当たる可能性が出てくる。法人にも同じ刑が科される両罰規定も置かれている[2]

執行の実態も添えておく。公正取引委員会が令和 8 年 6 月 10 日に公表した令和 7 年度の運用状況によると、勧告件数は 39 件で、対象となった違反行為類型の内訳は不当な経済上の利益の提供要請が 31 件、代金の減額が 6 件、返品が 6 件、不当な給付内容の変更等が 1 件、買いたたきが 1 件であり、支払遅延は挙がっていない[7]。だからといって支払サイトの設計が問われないわけではない。同じ公表資料は勧告と指導を合わせた類型別の内訳も示しており、実体規定違反 7,228 件のうち支払遅延が 3,787 件(52.4 パーセント)で最も多い[7]。勧告に挙がっていないのは、支払遅延が問題にされていないからではなく、指導で処理されているからである。

締め日は、明示と記録にどう書くか

締め日は社内の区切りだが、支払期日として外に出すときには決まった書き方がある。

4 条明示については、明示に関する規則の第 1 条第 1 項第 4 号が「製造委託等代金の額及び支払期日」を挙げている[5]。検査をする場合はその検査を完了する期日も別に挙がっている[5]。締め日の組み合わせをここへ書くことは前述のとおり認められており、テキストの共通事項の明示の書式例は「支払方法等について」という表題の通知に、支払制度として「毎月○日納品締切 翌月○日払」と書く形を示している[1]。同規則第 1 条第 3 項は、一定期間の製造委託等について共通である事項をあらかじめ書面の交付または電磁的方法による提供により明示したときは、その期間内の個々の明示はあらかじめ明示したところによる旨を明示すれば足りるとしている[5]。支払条件を発注ごとに書き直す必要はないが、共通事項として一度は出しておくことになる。

7 条記録の側は、締め単位では足りない。書類等の作成及び保存に関する規則の第 1 条第 1 項は、受領した給付の内容とその給付を受領した日(第 2 号)、代金の額および支払期日と増減額があった場合はその理由(第 5 号)、金銭を使用した場合の支払額・支払日・支払方法(第 6 号)を挙げており、さらに遅延利息を支払った場合はその支払った額および支払った日(第 12 号)まで記録の対象にしている[4]。記録は、その事項に係る事実が生じ、または明らかになったときに速やかに行うこととされ、保存期間は記録をした日から 2 年間である[4]

電磁的記録で持つ場合の要件も具体的である。同規則第 2 条第 3 項は、訂正または削除を行った場合にその事実と内容を確認できること、画面表示と書面出力ができること、そして中小受託事業者を検索の条件として設定でき、製造委託等をした日については範囲を指定して条件を設定できる検索機能を有していることを求めている[4]。締め請求書の控えを月ごとに並べただけでは、この形にならない。発注と受領の 1 件ごとに日付が引ける状態が前提になる。請求と発注・入庫を突き合わせる作業そのものは発注・入庫・請求の 3 点照合で扱っている。

条番号は 2026 年 1 月の施行で動いている。旧下請法の 3 条書面は取適法の 4 条明示、5 条書面は 7 条記録になり、支払期日の規定は旧法の第 2 条の 2 から第 3 条へ移った[1]。購買基本契約書・支払条件の通知文・発注書の裏面約款に旧法の条番号が残っている場合は差し替えが要る。改正前後の対応と、社内書類のどこを直すかを整理した資料として法令・規格 改訂対応パック(中小受託取引適正化法)を用意している。無料サンプルで中身を確認できる。

自社の締め日を点検する 5 つの問い

最後に、点検の順序を挙げる。5 つとも、答えが 1 つでも空欄なら締め日の設計は確かめられていない。

問い 1:締切期間の初日に受け取った品で数えたか

締切日から支払日までではなく、前回の締切日の翌日に受け取った品が支払日まで何日かかるかを数える。前掲の表の数え方である。

問い 2:受領日が 1 件ごとに引けるか

納品書の控えでも受入記録でもよいが、品目単位で受領日が出せるか。ここが出せないと、締め日を点検することも、遅延利息の期間を計算することもできない。

問い 3:締切対象を決めているのは受領日か、検収日か

検収日で締めているなら、検査に要する期間を見込んだ支払日になっているかを確かめる[1]。制度の日数が収まっていても、ここで崩れる。

問い 4:締切をまたいだ分の逃げ道があるか

締切後に判明した受領を当月へ戻せるか、戻せないなら別払いで処理できるか。ここが無いと、事務の 1 日の遅れが 1 か月の遅れに変わる[1]

問い 5:休業日の順延を書面で合意しているか

翌営業日に順延する運用があるなら、あらかじめ書面等で合意しているか[1]。合意の有無だけで、同じ支払日が問題になったりならなかったりする。

よくある質問

月末締め翌月末払いは 61 日目になる月がありますが、違反ですか

テキストは、月単位の締切制度で月の初日に受領したものの支払が受領から 61 日目または 62 日目になる場合について、「受領後 60 日以内」の規定を「受領後 2 か月以内」として運用しているため支払遅延として問題とはしていない、と明記している[1]。6 月 1 日受領・7 月 31 日支払という具体例も示されている[1]

締め日を月 2 回にすれば安全になりますか

締切期間が短くなるぶん、締切期間の初日に受け取った品の待ち時間は縮む。ただし決まるのは締切日から支払日までの間隔との合計なので、締切を増やしても支払日を後ろへ動かせば同じことになる。数え直すのは、あくまで締切期間の初日に受け取った 1 件である。

取引先から「翌々月払いで構わない」と言われた場合はどうなりますか

テキストの想定問答は、中小受託事業者から依頼があっても、または委託事業者と中小受託事業者との間で合意があったとしても、代金は受領日から起算して 60 日以内に定めた支払期日までに支払わなければならない、と答えている[1]。相手の同意は支払期日の位置を動かさない。

支払期日欄に「毎月末日納品締切、翌月末日支払」とだけ書けば 4 条明示は足りますか

支払期日の書き方としては、具体的な日が特定可能であるとして認められている[1]。ただし 4 条明示は支払期日だけではなく、明示に関する規則が定める事項をひととおり満たす必要がある[5]。共通事項としてあらかじめ明示しておく形も規則に置かれている[5]

受領日から 30 日目を支払期日に定めていた場合、31 日目から遅延利息が付きますか

付かない。第 6 条第 1 項の計算期間は、受領日から起算して 60 日を経過した日から支払をする日までである[2]。ただし定めた支払期日までに払わないこと自体は支払遅延に当たるので、遅延利息が生じないことと、違反にならないこととは別である。

消化仕入や使用高払のように、売れた分・使った分から数えることはできますか

テキストは、納入された時点では受領とせず一般消費者に販売した時点をもって受領したこととし、その 60 日後または当月末締翌月末に支払うという合意について、受領日とは別の特定されない日を基準にしているため支払期日も特定されず、支払期日を定める義務に違反することとなる、と答えている[1]。この場合は第 3 条第 2 項により受領日が支払期日とみなされる[2]。テキストが収める勧告事例(令和 2 年 2 月 14 日・旧下請法当時)では、既製服等の製造を委託していた事業者が顧客に販売した日を受領日とみなす消化仕入取引を行っていたため支払期日が定められておらず、受領日が支払期日とみなされる結果として、下請事業者 10 名に対し総額 1 億 7015 万 8471 円が未払いになっていた[1]。基準の置き方を誤ると、遅れる金額は締め 1 回分では収まらない。

まとめ

締め日は社内の区切りであって、取適法が起算日に選んでいるのは受領日である[2]。だから支払条件の点検は、締切日から支払日までの日数ではなく、締切期間の初日に受け取った 1 件が支払日まで何日待つかで行う。月単位の締切制度については「受領後 60 日以内」を「受領後 2 か月以内」として運用しているため、月末締め翌月末払いの 61 日目は支払遅延とはされない[1]。安全側の目安は、支払日を締切日の翌月の同じ日までに置くことである。

制度の日数が収まっていても、検収を締切の基準にする、締切日間近の納品を拾えない、納期前納入を納期の月で計上する、請求書の到着を待つ、の 4 つで崩れる。いずれもテキストが違反行為事例として挙げている型である[1]。そして遅れたときの遅延利息は年 14.6 パーセントで[3]、その計算期間は締め日でも支払期日でもなく受領日から 60 日を経過した日から始まる[2]。締め日の設計を確かめる作業は、結局のところ、受領日が 1 件ごとに引けるかどうかに戻ってくる。

出典・参考資料

  1. 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
  2. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  3. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第六条第一項及び第二項の率を定める規則(令和 7 年公正取引委員会規則第 9 号/e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  4. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第七条の書類等の作成及び保存に関する規則(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  5. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  6. 民法(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  7. 令和 7 年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組(公正取引委員会/令和 8 年 6 月 10 日)

締めの単位ではなく、1 件ごとの日付で持つ

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