納品と検収の記録をどう残すか——1 件の受け取りに付く 6 つの日付 | newji

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投稿日:2026年9月6日

納品と検収の記録をどう残すか——1 件の受け取りに付く 6 つの日付

この記事のポイント(結論先出し)

モノは届いている。だが「いつ受け取って、いつ検査が終わったか」を聞かれると、現品票の走り書きと担当者の記憶しか出てこない——という状態は珍しくない。ここで問題になるのは、記録の丁寧さではなくどの日付に法的な意味があるかを分けていないことである。取適法の記録規則が名指しで求めているのは、受領した給付の内容とそれを受領した日(第 1 条第 1 項第 2 号)、検査を完了した日・検査の結果・検査に合格しなかった給付の取扱い(同第 3 号)、そしてやり直しをさせた場合はその内容と理由(同第 4 号)である。逆に、入庫処理をした日も、社内で検収を確定した日も、条文には出てこない。そして「受領」とは検査の有無にかかわらず目的物を受け取って自己の占有下に置くことであり、検収の完了とは別の時点を指す。まず決めるのは、自社の何をもって「受領」とするかの一点である。

現品票と口頭に散っている、という状態の中身

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納品の記録が残っていない会社は、実はあまりない。残っていないように見えるのは、記録が複数の場所に分かれていて、それぞれ別の日付を指しているからである。受付の台帳には荷が着いた日が、倉庫の在庫システムには入庫処理をした日が、品質の検査記録には検査を実施した日が、購買の伝票には検収を上げた日が入っている。取引先から送られてきた納品書には、相手が出荷した日が印字されている。

ここまでは、どれも業務上の必要があって作られたものなので、それ自体は正しい。困るのは、この中のどれが「取適法でいう受領日」なのかを誰も決めていないときである。決めていないと、支払期日の起算日が担当者ごとに変わる。監督官庁から取引の経緯を求められたときに、どの記録を出せばよいかが分からない。取引先と「いつ受け取ったか」で食い違ったときに、こちらの主張を支える記録がない。

この記事は、帳票の名前の違いや、返品してよいかどうかの話ではない。3 つの書類の役割分担は納品書・受領書・検収書の違いに、受領を拒める場合と返品できる期間は受領拒否・返品・やり直しはどこまで許されるかにまとめてある。ここで扱うのはその手前で、どの事実を、いつ、どの形で記録に落とすかだけである。

調達現場で押さえるポイント

「記録を整備する」と言うと帳票を増やす話になりがちだが、順序が逆である。先に「受領日として使う 1 つの日付」を決め、それが今どこに入っているかを確かめる。帳票を足すのはその後でよい。決めないまま様式だけ増やすと、食い違う日付が 1 つ増えるだけになる。

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「受領」は占有下に置いた時点——検収でも入庫でもない

取適法テキストは、支払期日の起算日となる受領日の考え方をこう説明している。製造委託又は修理委託における「給付の受領」とは、中小受託事業者の給付の目的物を検査の有無にかかわらず受け取り、自己の占有下に置くことである[1]。委託事業者の検査員が中小受託事業者の工場へ出張して検査を行うような場合には、検査員が出張して検査を開始すれば受領となる[1]

ここから読めることは 2 つある。第一に、荷を受け取った時点で受領は成立しているので、そのあとに社内で何段の承認を通そうと、受領日は動かない。第二に、自社の敷地に入っていなくても受領になる場合がある。相手の工場に出向いて検査を始めれば、そこが受領の時点になる。

条文の側も同じことを言っている。第 3 条第 1 項は、支払期日は検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日から起算して 60 日の期間内において、かつできる限り短い期間内に定めなければならないとしている[2]。「検査をするかどうかを問わず」という文言が入っているのは、検収を待って起算日を後ろにずらす運用を封じるためである。

テキストには、この点をそのまま扱った Q&A がある。納入された時点では受領とせず、一般消費者に販売した時点をもって受領したこととし、その日から 60 日後に支払うと合意した場合について、本法上、納品させた時点で「受領」したこととなるため、支払期日が特定されず支払期日を定める義務に違反することとなる、としている[1]。当事者が合意していても、受領の時点は当事者の取り決めでは動かせない。

1 件の受け取りに付く六つの日付

受け取りの前後に生まれる日付を並べると、次のようになる。記録義務があるのはこのうち 3 つで、残る 3 つは条文に出てこない。

日付 その情報を持っているのは 法令上の意味 7 条記録に要るか
出荷日 取引先(納品書に印字) 定めなし 対象外
受領日(占有下に置いた日) 荷受けの現場 支払期日の起算日(第 3 条)/返品できる期間の起点 必要(第 2 号)
入庫日(在庫に計上した日) 倉庫 定めなし 対象外
検査を完了した日 検査・品質 商人間の売買なら「遅滞なく検査した」ことを示す(商法第 526 条) 必要(第 3 号・検査をした場合)
検収を確定した日(社内承認) 購買・経理 定めなし。支払期日は動かない 対象外
支払期日 発注時に決める 受領日から 60 日以内(第 3 条) 必要(第 5 号)

対象外と書いた 3 つを軽んじてよい、という意味ではない。入庫日は在庫と原価の計上に、検収確定日は社内の支払承認に使われる。ただしそれらは取適法の記録を代替しない。会計・在庫と受発注の線引きそのものは受発注・会計・在庫はどこで線を引くかで扱っている。

記録として何を残すか——受け取りに関する 3 つの号

7 条記録の項目は、記録規則第 1 条第 1 項に第 1 号から第 13 号まで置かれており、取適法テキストはこれを 17 項目に分けて示している[1][3]。全体の一覧と 2 年保存の数え方は取適法が求める記録——何を書いて、2 年間どう残すかにあるので、ここでは納品と検収の場面に直接かかる 3 つの号だけを見る。

第 2 号——受領した給付の内容と、受領した日

第 2 号は、製造委託等をした日、給付の内容、その給付を受領する期日に加えて、その受領した給付の内容及びその給付を受領した日を求めている[3]。前半(発注時に決めた内容と納期)と後半(実際に受け取った内容と受け取った日)が 1 つの号に同居している点が重要である。発注書の控えを保存しているだけでは、前半しか埋まらない。

テキストの Q&A も同じことを言っている。4 条明示した内容の写しを 7 条記録の一部とすることは可能だが、7 条記録は受託取引の経緯に係る記録なので、取引開始時に定めた事項のみが明示されている写しを保存するだけでは記録事項を全て満たすことはできず、義務違反となる[1]。「受け取った側の事実」を書き足す欄が要る、ということである。

第 3 号——検査を完了した日・結果・合格しなかった給付の取扱い

第 3 号は、給付の内容について検査をした場合は、その検査を完了した日、その検査の結果及びその検査に合格しなかった給付の取扱いを求めている[3]。3 つが一組になっている。日付だけでも、結果だけでも足りない。

実務で抜けやすいのは 3 つ目である。合格しなかったものを、返したのか、作り直させたのか、値引きで受け入れたのか、条件を付けてそのまま使ったのか——この選択そのものが記録事項になっている。検査記録に「不合格」とだけ書いて、その後の処理が別の伝票に飛んでいると、号が求める形になっていない。

第 4 号——やり直しをさせた場合の内容と理由

第 4 号は、給付の内容を変更させ、又はその給付の受領後に給付をやり直させた場合には、その内容及びその理由を記録するよう求めている[3]。つまり不合格のあとに「やり直し」を選ぶと、第 3 号に加えて第 4 号の記録が発生する。不合格のときに何を選ぶかで、埋める欄の数が変わる。

理由を書くことには実質的な意味がある。受領後のやり直しは、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに行えば第 5 条第 2 項第 3 号に触れる[2]。理由の欄は、そのときに自社がどの事実に基づいて判断したかを残す場所になる。

検査を省略する取り決めをしたとき、何が残るか

第 3 号には「検査をした場合は」という条件が付いている[3]。裏を返すと、検査をしないなら第 3 号の記録は発生しない。ではそれで身軽になるかというと、別の代償がある。

取適法テキストは、委託内容と異なることを理由に返品することが認められない場合として、給付に係る検査を省略する場合と、給付に係る検査を自社で行わず、かつ当該検査を中小受託事業者に文書で委任していない場合を挙げている[1]。検査をやめるなら、不良を理由に返すという手段は原則として使えなくなる。

検査を相手に委ねるという選択肢はある。ただしテキストは「文書により明確に委任している場合」と条件を付けており、この場合でも返品できるのは検査に明らかな過失があって受領後 6 か月以内のときに限られる[1]。委任は口頭では成立しないと読むべきで、委任の文書そのものが記録になる。

もう 1 つ、返品が認められない場合として委託内容が 4 条明示されておらず、又は検査基準が明確でない等のため、給付の内容が委託内容と異なることが明らかでない場合と、検査基準を恣意的に厳しくして委託内容と異なるなどとする場合が挙げられている[1]。検査基準は「検査したかどうか」の前提であり、発注時の明示と結び付けて残しておく対象になる。

調達現場で押さえるポイント

検査の方式を決めることは、品質部門だけの話に見えて、実はあとで返せる範囲を決める行為でもある。全数か、抜取りか、省略か、相手に委任するか——この 4 つは、記録に残る形と、返品できる期間の両方を変える。受入検査と工程検査の役割分担そのものは受入検査と工程検査の違いにまとめてある。

取適法の外に、もう 1 つ記録する理由がある

検査の日付を残す理由は、行政の検査に備えることだけではない。取引が商人間の売買に当たる場合、商法第 526 条第 1 項は、買主は目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならないと定めている[4]

効き方は第 2 項にある。検査により種類・品質・数量が契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない[4]。直ちに発見することができない不適合を 6 か月以内に発見したときも同様である[4]。ただし売主が悪意であった場合には適用しない[4]

つまり、いつ検査を終え、いつ相手に伝えたかを示せないと、作り直しも値引きも損害賠償も請求できなくなりうる。取適法の記録義務は「残さないと違反になる」という向きの話だが、商法のこちらは「残していないと請求できなくなる」という向きの話である。同じ 1 つの日付が、2 つの理由で必要になっている。

⚠️ 混同しやすい点を 1 つ。商法第 526 条第 2 項の「6 か月」と、取適法テキストが返品の限界として挙げる「受領後 6 か月」[1]は、別々の規定にたまたま同じ数字が置かれているものである。片方を根拠にもう片方の期間を説明しないほうがよい。

いつ書くか、どう並べるか

記録規則第 2 条第 1 項は、記録事項の記載又は記録は、それぞれその事項に係る事実が生じ、又は明らかになったときに、速やかに行わなければならないとしている[3]。月末にまとめて起こす運用は、この条文の求め方とは合わない。受領したときに受領の欄を、検査が終わったときに検査の欄を埋める形が想定されている。

並べ方については、条文と解説で書きぶりに差がある。記録規則第 2 条第 2 項は「書類に記載する場合には、中小受託事業者別に記載しなければならない」と、書類に限って取引先別を求めている[3]。一方、取適法テキストは「書類又は電磁的記録に記載し又は記録する場合には、中小受託事業者別に記載し又は記録しなければならない」と、電磁的記録も含めて書いている[1]

もっとも、電磁的記録の側にも相当する要件が別に置かれている。記録規則第 2 条第 3 項第 3 号は、検索の条件として中小受託事業者を識別できる事項を設定できることと、製造委託等をした日について範囲を指定して条件を設定できることを求めている[3]。取引先で引ける状態にしておけば、どちらの読み方でも成立する。訂正・削除の履歴と画面表示・書面出力の要件を含めた 3 要件そのものは、前掲の記録の記事にまとめてある。

条番号にも注意が要る。この記録規則は令和 7 年公正取引委員会規則第 10 号で、旧下請法の 5 条書面に関する規則を全部改正したものである[3]。社内の購買基本契約や検収基準書に「下請法第 5 条」と書いてある場合は差し替えが要る。条文の対応関係と改訂箇所を一式で点検するなら、法令・規格 改訂対応パック(中小受託取引適正化法)が使える。

保存年数は 1 つではない

同じ納品と検収の記録に、複数の保存義務がかかる。記録規則第 3 条は、7 条記録をその記載又は記録をすべき事項の全部の記載又は記録をした日から 2 年間保存しなければならないとしている[3]

一方、法人税法施行規則第 59 条第 1 項第 3 号は、取引に関して相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類で写しのあるものはその写しを、起算日から7 年間保存するよう求めている[6]。起算日は、書類についてはその作成又は受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から 2 か月を経過した日である[6]。国税庁の解説も、法人の書類の保存期間を 7 年と示している[5]

そして納品書や検収の通知をメールや PDF でやり取りしているなら、電子取引の保存の対象になる。実務で効くのは検索のしかたである。国税庁は、1 か月分の取引がまとめて記録された納品書データについて、個々の取引ごとの取引年月日と取引金額を用いる方法のほか、その電子取引データを授受した時点の年月日と記録された取引金額の合計額を用いる方法でも、各課税期間において自社で一貫した規則性を持っていれば差し支えないとしている[5]。月まとめの納品書を明細単位に割り直さなくてよい、ということである。

現品票と口頭から記録へ移すための 5 つの決めごと

1. 自社の何をもって「受領」とするかを 1 つに決める

荷受けの受付印か、現品照合の完了か、相手の工場での検査開始か。占有下に置いた時点という基準に照らして、自社の業務のどの操作がそれに当たるかを決め、文書にする[1]。⛔ 検収の完了や入庫処理の完了を受領日に充てると、支払期日の起算がずれる。この操作を誰が動かすことにするかは発注ステータスは誰が動かすかで扱った。

2. その日付が今どこに入っているかを確かめる

受付台帳、在庫システム、現品票、メールのいずれか。複数にあるなら、どれを正とするかを決める。新しい欄を作るのは、既存のどこにも無いと確認できたときでよい。

3. 検査の方式を、記録の形とセットで決める

全数・抜取り・省略・相手への委任。省略と、文書によらない委任は、不良を理由とする返品の道を閉じる[1]。委任するなら文書で行い、その文書を保存する。

4. 不合格のあとの選択肢に、それぞれ記録の置き場を用意する

返品・やり直し・値引き・条件付きでの受入れ。第 3 号の「取扱い」はここを指しており、やり直しを選んだ場合は第 4 号の理由も要る[3]。選択肢ごとに書く欄が違うので、検査結果の欄に自由記述で押し込まない。

5. 取引先で引ける形にしておく

紙で持つなら取引先別に綴る。データで持つなら、取引先と発注日の範囲で検索できるようにする[3]。どちらの読み方でも通る形はこれである。

受発注システムで、この記録がどう残るか

Newji one では、検査依頼を発注に紐づけて作成でき、依頼ごとに「INS-日付-連番」の形式で番号が採番される。検査の区分は通常検査・限定検査・特別検査の 3 つ、結果は検査待ち・検査中・合格・条件付き合格・不合格の 5 つから選ぶ。1 件ごとに検査実施日・検査担当者名・所見のコメントを持つので、前掲の第 3 号が求める「検査を完了した日」「検査の結果」を、発注と結び付いた形で残せる。「条件付き合格」は、条件を付けて受け入れた場合の取扱いを表す区分として使える。

発注のステータスを「納品済み」「検収完了」へ進めると、誰がいつ変更したかが変更履歴に残る。納品済みのステータスになっているのに検査依頼が 1 件も無い発注は、照合結果の一覧に検収漏れとして表示される。分納の場合は回ごとに番号と実出荷日を持ち、回ごとに納品書を発行できる。分納では受領も支払期日の起算も回ごとに生じるので、記録も回ごとに分かれている必要がある。

紙の様式が要る場合のために、発注から検収書を印刷することもできる。合格・条件付き合格・不合格のチェック欄と、検収コメント・検収日・検収担当の記入欄が付いた様式が出力される。現場で書いてもらう運用を残したまま、結果を画面側に入れ直す形にできる。

ただし、何をもって受領とするかは、どの製品を使っても自社で決める必要がある。システムが持つのは実出荷日、検査実施日、ステータス変更の履歴であり、受領日として使う操作を決めるのは運用側の仕事である。上の決めごと 1 を先に済ませてから入れたほうが、迷いが少ない。

よくある質問

検収が終わってから支払期日を数えてはいけませんか

第 3 条第 1 項は、支払期日を検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日から起算して 60 日の期間内に定めなければならないとしている[2]。検収の完了は起算日にならない。支払期日を定めなかったときは受領した日が、60 日を超えて定めたときは受領日から 60 日を経過した日の前日が、それぞれ支払期日とみなされる[2]

検査をしないと決めた場合、記録は何も要らなくなりますか

第 3 号は「検査をした場合は」と書かれているので、検査をしなければこの号の記録は生じない[3]。ただし第 2 号の受領した給付の内容と受領した日は、検査の有無にかかわらず必要である[3]。加えて、検査を省略する場合と、自社で検査せず文書で委任もしていない場合は、委託内容と異なることを理由とする返品が認められない[1]。記録が減る代わりに手段が減る、という関係になる。

検査を取引先に任せています。何を残せばよいですか

テキストは「給付に係る検査を中小受託事業者に文書により明確に委任している場合」を要件としており、この場合でも返品できるのは当該検査に明らかな過失が認められ、かつ受領後 6 か月以内のときに限られる[1]。委任した事実を示す文書と、その委任の範囲・検査基準を残す。相手から受け取った検査の結果は、自社が検査していない以上、第 3 号の「検査をした場合」には当たらないが、後日の判断材料になるので発注と紐づけて保存しておくのが安全である。

受領日と検査完了日が同じ日になっても構いませんか

構わない。受領は占有下に置いた時点であり[1]、その日のうちに検査を終えたなら両方が同じ日付になる。ただし同じ日だからといって欄を 1 つにまとめてよいわけではない。第 2 号と第 3 号は別の号で、検査をしない取引では後者が空になる。欄を統合すると、その区別ができなくなる。

受領の記録を月末にまとめて起こしています

記録規則第 2 条第 1 項は、記載又は記録をその事項に係る事実が生じ、又は明らかになったときに、速やかに行うよう求めている[3]。月末に一括して起こす運用は、この求め方とは合わない。加えて、まとめて起こすと受領日が締め日に寄って記録されがちで、支払期日の起算が実際とずれる原因になる。

納品書のデータは 2 年保存すればよいのですか

7 条記録としての保存は、全部の記載をした日から 2 年である[3]。ただし取引に関して受け取った送り状その他これらに準ずる書類は、法人税法施行規則第 59 条第 1 項第 3 号により起算日から 7 年の保存対象になる[6]。同じ書類に別々の年数がかかるので、短いほうに合わせて破棄しないよう注意する。

まとめ

納品と検収の記録が現品票と口頭に散るのは、様式が足りないからではなく、どの日付に意味があるかを決めていないからである。取適法でいう受領は、検査の有無にかかわらず目的物を受け取って自己の占有下に置いた時点を指し[1]、支払期日はそこから 60 日以内に定めなければならない[2]。記録規則が名指しで求めるのは、受領した給付の内容と受領した日(第 2 号)、検査を完了した日・結果・合格しなかった給付の取扱い(第 3 号)、やり直しをさせた場合の内容と理由(第 4 号)である[3]。入庫日と社内の検収確定日は、業務には要るが、この 3 つの代わりにはならない。

そして記録は、行政の検査のためだけに残すものではない。商人間の売買であれば、遅滞なく検査して直ちに通知したことを示せなければ、追完・減額・損害賠償・解除の請求ができなくなる[4]。検査を省略すれば第 3 号の記録は減るが、不良を理由に返す手段も同時に失われる[1]記録の設計は、あとで自社が何を主張できるかの設計でもある。まず受領日として使う 1 つの操作を決め、それがどこに入っているかを確かめるところから始めたい。

出典・参考資料

  1. 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
  2. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  3. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第七条の書類等の作成及び保存に関する規則(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  4. 商法(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  5. 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(国税庁/令和 7 年 6 月)
  6. 法人税法施行規則(e-Gov 法令検索(デジタル庁))

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