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投稿日:2026年9月2日

過剰仕様の外し方——見る 6 か所と、外すときに要る合意と記録

この記事のポイント(結論先出し)

過剰な仕様を外す作業は、図面を眺めて「厳しすぎる気がする」と言うところからは始まりません。まず仕様を「顧客が指定したもの」「自社が決めたもの」「仕入先が提案してきたもの」の 3 層に分け、自社が決めた層から手をつけます。見る場所は寸法公差・表面性状・材質と表面処理の銘柄指定・試験項目・検査頻度・保証期間と保管条件の 6 か所に絞れます。そして外すこと自体より重いのが手続で、仕様の変更は取適法(中小受託取引適正化法)でいう「給付の内容の変更」に当たり、変更に伴う費用を委託事業者が負担するなどして、相手の利益を不当に害しない形にすれば問題になりません[1]。変更したら改めて 4 条明示を行い、変更の内容とその理由を 7 条記録として 2 年間保存することまでが 1 セットです[1]

過剰仕様は「3 つの層」に分けてから外す

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仕様書と図面に載っている要求は、見た目には同じ 1 行でも、決めた人が違います。ここを分けずに一覧化すると、外す権限が自社にない項目と、今日にでも外せる項目が同じ表に並び、結局どれも動かせなくなります。作業に入る前に、対象の品目について次の 3 層に仕分けます。

層① 顧客が指定した仕様
自社の得意先から支給された図面・仕様書・購買仕様書に書かれている要求です。自社の判断だけでは外せません。外すには顧客の承認が要り、承認が取れるまでの時間も読んでおく必要があります。

層② 自社が決めた仕様
自社の設計者・品質保証部門・調達部門が足した要求です。社内標準、過去の不具合の再発防止策、他機種からの流用、担当者の安全側の判断などが混ざっています。過剰仕様の削減で最初に手をつけるのはここです。決めたのが自社なので、社内の合意だけで外せます。

層③ 仕入先が提案してきた仕様
仕入先が自社の設備や工程に合わせて提案し、そのまま図面に取り込まれた要求です。提案した当人が持っている情報が最も多いため、外せるかどうかは仕入先に聞くのが早い層です。

3 層に分けたら、② → ③ → ① の順で進めます。②は社内で完結するので着手から結論まで最も短く、①は顧客の承認手続が入るので最も長くかかります。長い方から始めると、待っている間に活動そのものが止まります。目標値をいくらに置き、誰が決めるのかについては、コストダウン目標の決め方をまとめた記事で扱っています。

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図面と仕様書のどこを見るか——6 か所

図面を 1 枚ずつ通読しても過剰仕様は見つかりません。値段に効く要求が集まっている場所は限られているので、そこだけを見ます。下の表は、見る場所ごとに「過剰を疑う合図」「外せるかを判定するために取る情報」「確認する相手」を並べたものです。

見る場所 過剰を疑う合図 判定のために取る情報 確認する相手
寸法公差 相手部品と組み合わない面にも個別公差が入っている/同じ機能の寸法で公差がばらばら その寸法が何と組み合うか、実測値の分布、直近 1 年の公差外れ件数 設計
表面性状(表面粗さ) 外観面でも摺動面でもない面に粗さ指示がある/上限と下限の両方で縛っている その面の機能(摺動・シール・接着・外観・指定なし)、現行工程で出ている実力値 設計・仕入先
材質・表面処理の銘柄指定 規格名ではなく特定メーカーの商品名で書かれている/代替可の注記がない その銘柄でなければならない理由(規格値・実績・顧客指定のどれか) 設計・品質保証
試験項目 量産品なのに開発時の評価試験が毎ロット残っている/同じ特性を 2 通りの試験で見ている 試験を追加した時期と理由、直近の不合格件数、試験 1 回あたりの費用と日数 品質保証
検査頻度・検査方法 全数検査のまま年単位で不適合ゼロ/抜取数の根拠を誰も説明できない 不適合の実績、検査工数、不適合が流出したときの影響の大きさ 品質保証・仕入先
保証期間・保管条件 自社が最終顧客に約束した期間より長い保証を仕入先に求めている/恒温恒湿保管の指定に根拠がない 最終顧客への保証期間、保管条件を満たすための費用 品質保証・営業

寸法公差——指示がない寸法にも公差はある

個別の公差を書かなかった寸法が「公差なし」になるわけではありません。日本産業規格には「普通公差―第 1 部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差」(JIS B 0405:1991)という規格が独立して存在します[2]。この規格が対象にしているのは金属の除去加工または板金成形によって製作した部品の寸法で、四つの公差等級が定められています[2]。どの等級によるかは図面の指示で決まるので、等級の指定がない図面では、個別公差を外す前に等級の指定を入れるのが先になります。規格の名称そのものが示しているとおり、個々に指示がない寸法をどう扱うかは、規格の側で用意されている論点です。つまりすべての寸法に個別公差を書き込むのは、必要だからではなく、そう書く運用になっているからという場合があります。

判定に使う材料は、その寸法が何と組み合うかという 1 点です。相手部品と接する寸法、位置決めに使う寸法、シールが効く寸法は残します。それ以外の外形寸法まで個別公差が入っていれば、外す候補です。実測値の分布を仕入先から出してもらい、図面の公差幅と実力値の幅を並べると、判断が早くなります。

表面性状——両側で縛っていないか

表面粗さの指示は、記号 1 つで工程が変わり、値段が段違いになる項目です。図示の方法は「製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状の図示方法」(JIS B 0031:2003)で定められており、その箇条 6.6 は「許容限界値の指示-片側又は両側許容限界値」という表題を持っています[3]許容限界を片側だけ指示するのか、両側で指示するのかは、規格が区別している事柄です。上限だけ効けばよい面に上下限の両方が入っていれば、そこは疑う対象になります。

あわせて見るのは、粗さ指示が付いている面の数です。同じ部品で粗さ指示のある面が多いほど、機能とは関係なく面が指定されている可能性が上がります。面ごとに「摺動・シール・接着・外観・機能なし」のどれかを書き出し、「機能なし」に付いている指示から外していきます。

材質・表面処理の銘柄指定——理由を言えるか

特定メーカーの商品名で材料や表面処理を指定している箇所は、理由を言えるかどうかで扱いが分かれます。規格値では表せない特性が要る、顧客が銘柄で指定している、過去に代替品で不具合が出た——このいずれかを説明できるなら残します。説明できないなら、規格名と必要特性で書き直す候補です。

ここには法令上の注意も付いてきます。取適法は「中小受託事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させること」を禁止しています(第 5 条第 1 項第 6 号)[4]。ここでいう「自己の指定する物」には、委託事業者や関連会社が販売する物が含まれます[1]自社や関連会社が売っている材料を指定して買わせている場合、品質を均質にするためという理由を説明できることが、そのまま適法性の説明にもなります。理由を書けない銘柄指定は、原価の面でも法令の面でも弱いところです。

試験項目と検査頻度——「前からやっている」は理由にならない

試験と検査は、外した効果が最も早く金額に出る一方で、外した後に不適合が出たときの説明責任が重い項目です。だからこそ判断を人の勘に預けず、数字で並べます。試験を追加した時期と理由、追加後の不合格件数、1 回あたりの費用と日数。この 3 つが揃うと、「不合格が一度も出ていない試験に毎ロット費用を払っている」という状態が見えます。

逆方向の注意も 1 つあります。検査基準を後から恣意的に厳しくして、納入品が委託内容と異なるとすることは認められていません[1]。緩める方向の見直しには当てはまりませんが、検査基準は当事者間で決めたものであって、受け入れる側が一方的に動かせるものではないという前提は、緩める交渉でも同じです。基準を変えるなら、変えたことを相手に伝えるところまでが必要になります。

保証期間・保管条件——値段に乗っている

仕入先に求める保証期間は、そのまま見積に乗ります。自社が最終顧客に約束している期間より長い保証を仕入先に求めていないかは、契約書を突き合わせれば確かめられます。保管条件も同じで、恒温恒湿の指定は倉庫の費用に直結します。指定した当時の理由が残っていない条件は、外す候補として一覧に載せます。

外してよいかを判定する 5 つの問い

候補が挙がったら、1 項目ずつ次の 5 つに答えます。1 つでも答えられない問いがあれば、その項目は今回は外しません。「よく分からないが多分大丈夫」で外した項目は、後で不具合が出たときに全部が巻き戻ります。

1. この要求は何を守っているか
守っている対象を、機能・安全・法規制・顧客要求・工程の都合のどれかで言い切れるか。言い切れないものは、そもそも要求として成立していません。

2. 外したとき、何がどう悪くなるか
起きる現象を具体的に書けるか。「品質が落ちる」では判定できません。「はめあいが緩くなり、振動で緩む可能性がある」まで書ければ、次の問いに進めます。

3. その現象は、外した後の工程で見つかるか
後工程や完成検査で捕まえられるなら、リスクは限定されます。出荷後にしか分からないなら、外す判断のハードルは上がります。

4. 実績はどうなっているか
直近 1 年で、その要求に引っかかった件数はいくつか。ゼロが続いている要求は、要求が効いていないのか、工程が安定していて余裕があるのかのどちらかです。仕入先の実測値の分布を見れば、どちらかが分かります。

5. いくら下がるか
外したときの金額を、仕入先に見積として出してもらいます。ここで根拠のある数字が出てこなければ、外しても交渉材料になりません。積み上げの根拠をどう持つかは、コストテーブルの作り方と使い方の記事で扱っています。

誰の承認を取るか

顧客仕様に紐づく項目は、社内だけで外せない

層①に仕分けた項目は、社内で全員が「不要だ」と合意しても外せません。手順は、外したい項目・外す理由・外した後の担保方法・確認した実績を書いた依頼を顧客に出し、顧客の承認を書面で受け取ることです。口頭で「構わないですよ」と言われた状態で図面を書き換えると、後で不具合が出たときに承認の事実を示せません。

顧客が仕様の根拠を答えられないことは実際に起きます。その場合でも、根拠がないから外してよいことにはなりません。顧客が承認していないという事実だけが残るので、承認が取れるまでは層①のままにしておきます。

社内は 3 者の役割を先に決める

層②を外すときに揉めるのは、誰が最終的に決めるのかが決まっていない場合です。着手前に次を決めておきます。

  • 設計——要求が何を守っているかを説明し、外した後の成立性を判断する。図面を書き換えるのは設計。
  • 品質保証——試験・検査・保証に関わる項目の可否を判断し、外した後の監視方法を決める。顧客要求との紐付けを持っているのも品質保証。
  • 調達——仕入先から実測値・見積・工程情報を集め、金額を確定させる。仕様変更を仕入先に伝える窓口も調達。

品質マネジメントシステムの規格でも、変更は成り行きに任せるものとして扱われていません。「品質マネジメントシステム―要求事項」(JIS Q 9001:2015)は箇条 6.3 に「変更の計画」という項目を置いています[5]。仕様を外す活動は、この計画の対象になります。

仕入先に「外していい仕様」を聞くときの注意

どの要求が効いていないかを最もよく知っているのは、その要求に合わせて工程を組んでいる仕入先です。聞くこと自体は正しい進め方ですが、聞き方には注意が要ります。「コストダウン案を出してください」とだけ伝えて回答を待つと、仕入先は自社の利益を削る案を出すしかなくなります。そうではなく、こちらが挙げた候補を示し、「この公差を外した場合、工程と金額はどう変わるか」と条件を特定して聞きます。仕入先が持っている情報を引き出しつつ、判断の責任をこちら側に残す聞き方です。仕入先から提案を受ける側の書き方については、コストダウン提案書の構成を扱った記事が参考になります。

外すときに取適法で確認する 3 点

仕様を外す行為は、発注内容を動かす行為です。相手が取適法の中小受託事業者に当たる場合、次の 3 点を確認します。要請できる範囲そのものについては、コストダウン要請の線引きをまとめた記事で詳しく扱っています。

仕様を外すのは「給付の内容の変更」に当たる

取適法は、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに給付の内容を変更させ、又は受領後に給付をやり直させることにより、その利益を不当に害することを禁止しています(第 5 条第 2 項第 3 号)[4]。この「給付の内容を変更させること」は、受領前に 4 条明示されている給付の内容を変更し、当初委託した内容とは異なる作業を行わせることを指します[1]。仕様を外す変更もここに入ります。

ただし、変更のために必要な費用を委託事業者が負担するなどして、中小受託事業者の利益を不当に害しないと認められる場合は、不当な変更の問題になりません[1]問題になるのは仕様を変えたことではなく、変更で無駄になった作業の費用を相手に負わせたことです。着手済みの材料手配、作り直しになる治具、廃棄になる仕掛品がある場合は、その費用の扱いを先に決めます。変更とやり直しの規制そのものは、受領拒否・返品・やり直しの記事で条件ごとに整理しています。

変更したら改めて 4 条明示する

4 条明示の項目には、「中小受託事業者の給付の内容」と、検査をする場合の「その検査を完了する期日」が含まれます[1]。仕様を外せば給付の内容が変わるので、変更後の内容を書面または電磁的方法で相手に明示し直します。取引の過程で 4 条明示された給付の内容を変更し又は明確化した場合には、その内容を中小受託事業者に明示する必要があると示されています[1]。明示すべき 12 項目の中身は、発注書の記載項目を扱った記事にまとめてあります。

単価に反映するときは協議を経る

仕様を外した効果を単価に反映する段階で、もう 1 つ条文が関わります。取適法は、給付に関する費用の変動その他の事情が生じた場合に、中小受託事業者が代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず協議に応じず、又は求められた事項について必要な説明や情報の提供をせず、一方的に代金の額を決定することを禁じています(第 5 条第 2 項第 4 号)[4]。ここでいう「その他の事情」には、委託事業者から従前の代金の引下げを求められた場合が含まれると示されています[1]。つまりこちらから値下げを求めた時点で、相手は協議を求められる立場になります。求められた説明を返さずに新単価を通知するやり方は取れません。協議の進め方は買いたたきの判断基準を扱った記事で整理しています。

外した記録の残し方

記録は社内の作法ではなく、法令上の義務が先にあります。委託事業者は、取引について記載または記録した書類・電磁的記録を作成し、保存しなければなりません(第 7 条)[4]。この書類は7 条記録と呼ばれ、保存期間は公正取引委員会規則(記録規則)で定められています。期間は 2 年間です[1]。そして記録事項には、「中小受託事業者の給付の内容について、変更又はやり直しをさせた場合は、その内容及びその理由」が明示的に含まれています[1]仕様を外したときは、外した内容と外した理由を書いて 2 年間保存する——これが最低限の線です。

この義務を満たしつつ、次の見直しでも使える形にするには、1 件ごとに次を残します。

  • 対象——品番、図面番号と改訂記号、変更した箇所
  • 変更前と変更後——数値や記号を、変更前後の両方で書く
  • 外した理由——上の 5 つの問いに対する答え。特に「何を守っていたか」と「外した後どう担保するか」
  • 判断の根拠にした実績——実測値の分布、不適合件数、対象期間
  • 承認——社内の承認者と日付。層①なら顧客の承認文書の番号と日付
  • 相手への明示——変更後の内容をいつ、どの書面で明示し直したか
  • 単価の扱い——変更に伴う費用負担の合意内容と、協議の記録

図面そのものにも変更を残します。機械製図の規格である「機械製図」(JIS B 0001:2019)は、箇条 14 に「図面の訂正・変更」という項目を置いています[6]。図面の改訂履歴と、上の記録が同じ変更を指していることを確認しておくと、後から経緯をたどれます。

よくある質問

仕入先から「この公差は不要では」と提案されたら、そのまま外してよいですか

提案は判断の材料であって、判断そのものではありません。層②か層③なら社内で 5 つの問いに答え、層①なら顧客の承認を取ります。提案してきたのが仕入先だという事実は、外した後に不具合が出たときの責任の所在を変えません。図面を承認しているのは発注側だからです。

一度外した仕様を戻すときは、どうすればよいですか

戻すのも「給付の内容の変更」です。外すときと同じ手続を踏みます。特に注意が要るのは、すでに緩い仕様で作り始めた後に戻す場合で、材料の手配や工程の段取りが進んでいれば、その費用の扱いを先に決める必要があります。費用を負担せずに戻させることが、不当な変更に当たり得ます[1]

検査頻度を下げた後に不適合が出たら、仕入先の責任ですか

検査頻度を下げるという判断をしたのは発注側なので、頻度を下げたこと自体を理由に仕入先を責めることはできません。不適合そのものの責任と、それを見つけられなかったことの責任は別です。だからこそ、外す前に「外した後どう担保するか」を決め、記録に残しておきます。担保方法を決めずに頻度だけ下げていた場合、記録にもその空白が残ります。

相手が取適法の対象でなければ、手続は要りませんか

取適法の義務は生じませんが、取引上の地位が優越していると認められる場合には、独占禁止法の優越的地位の濫用として問題になり得ます。ただし独占禁止法で規制する場合は、その行為が取引上優越した地位を利用したものかどうか、不当に不利益なものかどうかを個別に認定する必要があるとされています[1]。取適法の対象外であることが、そのまま自由に決めてよいという意味にはならない、という程度に受け取ってください。要請そのものの線引きはコストダウン要請はどこまで許されるかで扱っています。手続の面でも、記録を残す理由がなくなるわけではありません。変更前後と理由を残していないと、次の見直しのときに「なぜこの公差になっているのか」が再び分からなくなり、同じ調査をやり直すことになります。過剰仕様が積み上がる仕組みそのものが、変更の理由が残っていないことです。

実務で起きやすい不備

候補の一覧だけ作って終わる。図面を見て「厳しそうな箇所」を並べた表は作られるものの、5 つの問いに答える段階で止まり、外した項目がゼロという例があります。一覧の各行に、答えを書く欄と担当者名を最初から付けておくと、止まっている行が見えます。

金額を確かめずに外す。外しても値段が変わらない項目は実際にあります。工程が変わらない、設備の段取りが同じ、材料が共通といった理由です。外す前に見積で確かめないと、担保を弱めただけで終わります。

図面は直したが、購買仕様書と検査基準書が古いまま残る。同じ要求が複数の文書に書かれている場合、1 つだけ直すと、後から検査基準書を見た人が古い基準で判定します。その要求がどの文書に書かれているかを先に洗い出してから外します。要求をどの文書にどう書き分けるかは、購買仕様書の書き方の記事で扱っています。

単価だけ先に下げて、仕様の変更が後回しになる。「この仕様を外す前提で」と言って新単価を先に適用し、図面の改訂と 4 条明示が数か月遅れる例です。相手は旧仕様のまま作り続けているので、実態としては仕様を外さずに単価だけ下げたことになります。変更の明示が済むまで、旧単価で発注します。

まとめ

過剰な仕様を外す作業は、3 つの層に仕分けるところから始めます。自社が決めた層から手をつけ、寸法公差・表面性状・材質と表面処理の銘柄指定・試験項目・検査頻度・保証期間と保管条件の 6 か所を見ます。候補ごとに 5 つの問いに答え、答えが揃ったものだけを外します。

手続の側では、仕様の変更が取適法の「給付の内容の変更」に当たること、費用を負担すれば不当な変更の問題にはならないこと、変更後は改めて 4 条明示が要ること、単価に反映するなら協議を経ること、そして変更の内容と理由を 2 年間保存する義務があることを押さえます。記録は義務であると同時に、次の見直しで同じ調査を繰り返さないための資産にもなります。

出典・参考資料

  1. 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
  2. JIS B 0405:1991 普通公差―第 1 部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差(日本規格協会/1991 年 2 月 28 日発行・2025 年 6 月 20 日確認)
  3. JIS B 0031:2003 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状の図示方法(無料プレビュー)(日本規格協会/平成 15 年 9 月 20 日改正)
  4. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  5. JIS Q 9001:2015 品質マネジメントシステム―要求事項(無料プレビュー)(日本規格協会/2015 年 11 月 20 日改正)
  6. JIS B 0001:2019 機械製図(無料プレビュー)(日本規格協会/令和元年 5 月 20 日改正)

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